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コラム


時の焦点<国内> 日韓首脳会談
ホルムズ海峡が封鎖され、日韓両国とも原油などエネルギーの確保が喫緊の課題となっている。イランを攻撃した米国が、在日・在韓米軍の一部戦力を中東に移したことで、力の空白がアジアに生まれかねないことも懸念材料だ。日韓両政府は、首脳間の頻繁な往来を具体的な協力につなげていくべきだ。 高市早苗首相が韓国南東部の安東(アンドン)を訪れ、李(イ)在(ジェ)明(ミョン)大統領と会談。日韓首脳会談は1月、首相の地元奈良で行われた。今回の開催地の安東は、李氏の故郷である。両首脳が短期間で互いの故郷を訪問したことは、日韓のシャトル外交が定着しつつあることを示す。 首脳会談では、イラン情勢への対応が主な議題となった。会談後に発表された、日韓両国のエネルギー安全保障を強化するための共同文書には、どちらか一方の国で原油や石油製品が不足した際、相互に融通することを検討するため、官民対話を進める方針が盛り込まれた。供給が滞った時に備え、平時から協議しておく意義は大きい。 高市首相は先月、アジア全体でエネルギーを確保するための枠組み「パワー・アジア」を設けると表明。具体的には、主


時の焦点<海外> トランプ訪中
米国依存狙う石油外交 トランプ米大統領が5月13日から3日間、中国を訪問。習近平国家主席との首脳会談が行われた14日、FOXニュースは「中国はアラスカを調査しようと努めている」と報じた。イラン情勢、台湾問題への関心が突出する中、不安定な湾岸地域への石油依存を減らそうとする中国の内情に関する視点は興味深い。 中国はイランの原油輸出の約90%を消費し、石油全体の約50%が中東地域からの輸入だが、そのうち約90%がホルムズ海峡を通過する。今後数十年間に中東のどこかで戦争が起きたらどうなるか。 石油依存国家の中国は消費の70%以上を外国からの輸入に頼り、世界最大の石油輸入国だ。生存のためには化石燃料が必要で、電力の58%が石炭に依存している。中国は脆弱性を抱えており、トランプ氏は政権1期目から、その脆弱性に着目し、利用した。 米CNBCテレビは「米石油の対中輸出が急増、世界のオイル・ゲームが変貌」(2018年2月)と伝えた。「米国の中国向け石油の出荷が急増し、16年までは存在しなかった米中間の貿易が創出された。巨大な対中貿易赤字の削減に貢献している。米原


時の焦点<国外> イランの核
戦争は外交に勝るか 米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まってまもなく3カ月。この戦争は何のための戦争なのか。世界は今なお当惑と不安の中にいる。 有名なクラウゼヴィッツの「戦争とは他の手段をもってする政治の延長である」という定義に従うなら、外交で達成し得ない政治的成果を軍事力で達成できたのか否かが厳しく問われるはずだ。 トランプ米大統領は訪中に先立つ5月12日、「イランに核兵器を持たせないこと、それが全てだ」と強調したが、クラウゼヴィッツ流に言えば、イランの核保有断念を外交ではなく戦争で実現することが攻撃を始めた目的、ということになる。 イランの核問題は、オバマ米政権当時の2015年にイランが米中露英仏独と欧州連合(EU)の間に締結した合意で、いったん外交解決が図られた。 イランがウラン濃縮度を3.67%以下かつ濃縮期間を15年間に制限する代わり、国際社会が経済制裁を解除するというものだった。 ところがトランプ氏が1期目の18年に「最悪の合意だ」として一方的に離脱。これに反発したイランがウラン濃縮度を高めていった経緯が、今回のイラン攻撃の伏線にあ


時の焦点<国内> 拠出金の運用
疑念招く ずさんな運用 会計検査院が、省庁などが2018~21年度に国際機関に任意で拠出した426件について、運用状況を検査した。その結果、3割超にあたる145件で支出の妥当性が疑われるなど、管理のずさんさが判明した。 具体的には、44件で会計報告を定期的に受領していなかったほか、58件で繰越額を定期的に把握せず、43件では余剰資金を確認していなかった。 国が負担している拠出金には、条約などに基づく義務的拠出金や、事業が有益だとして省庁などの判断で行う任意拠出金などがある。 18~23年度の日本の拠出は総額5兆237億円だった。このうち任意拠出金は3兆292億円で、拠出金全体の6割を占めた。 検査院の報告によると、経済産業省は、東アジアの経済統合を研究している「東アジア・アセアン経済研究センター」に対し、23年度までの6年間で計258億円を支出した。ところが、会計報告は一部しか受け取っていなかった。 検査院の指摘を受けて経産省がセンターに確認したところ、拠出総額の4割近い96億円が、23年度末時点で繰り越されていた。巨額の資金投入が適切だったのか


<春夏秋冬> G2に映る 日韓の戦略差 平岩俊司
世界中が注目したトランプ大統領の訪中は米中関係の大きさをあらためて印象づけた。年内中にあと3回首脳会談をおこなうという。まさにG2だ。経済学者、C・フレッド・バーグステンが2006年頃に提唱したとされるこの概念は、オバマ政権では国際関係における米中の突出した役割をイメージする用語として使われるようになった。 日本でも米中二極のイメージで使われたが、日本の頭越しに米中関係が推移することへの警戒感から否定的に捉えられた。当時、中国自身もG2とのイメージで過大評価されることに慎重だったこともあり、メディアなどで見かけることが徐々に少なくなっていった。仮に使われたとしても、「アメリカはG2を目指していない」などの否定的な表現として使われることが多かった。


朝雲寸言(2026年5月21日付)
「子ども食堂」が増えている。子どもたちに無料または低額で食事や温かな居場所を用意する社会活動で、その拠点でもある。認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」によると、全国に1万2602カ所(2025年度)あるという。 10年代前半から急増。森沢明夫氏の小説『おいしくて泣くとき』が原作の映画なども作られ、認知度を高めている。年間の延べ利用者数は約2533万人。近年、お年寄りらも多く、孤食回避などの役割も担う。地域社会のインフラと言っていい。 ただ、約8割が非営利の民間団体による運営。調理や子の見守りなどはボランティア頼みだから、運営人材の高齢化や固定費(家賃など)の捻出などが問題になる。レッテル貼りを恐れて困窮家庭の子どもの足が遠のく一方、余裕ある家庭の利用が目立つ現状もあり、支援到達度も課題だ。 「民」の限界には「公」が乗り出すべきなのだが、「こども家庭庁」などは何をしているのか。公平性から自治体などを通じての間接的支援にとどめるというが、明確な旗振りができないものか。 子ども食堂は、互助精神の賜物(たまもの)である。民間の善意による


<春夏秋冬> PKO司令官への途 鈴木敦夫
国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)軍事部門の参謀長ポストへの陸上自衛官派遣が先月閣議決定された。参謀長は、我が国の派遣要員として最高位の職位である。このニュースで「ついにここまできたか」と感慨を深くした。 1993年から95年まで私は当時の総理府国際平和協力本部事務局に出向していた。カンボジアPKO(国連平和維持活動)、モザンビークPKO、ルワンダ難民救援活動などの自衛隊の国際協力活動の初期段階に関与し現地滞在の経験もある。国際協力活動というと、施設部隊などのいわゆる「部隊派遣」が関心の焦点になってしまう。


時の焦点<海外> イランの経済
深い死のスパイラルに 米・イスラエルが2月28日に対イラン戦争を開始してから、約2カ月半。米海軍によるイラン港湾に対する海上封鎖と相まって、イランは重大な危機に陥っている。 米の制裁の影響ですでに崩壊状態だった経済情勢はさらに悪化し、通貨イランリアルは4月29日に1ドル=181万リアルと過去最安値まで下落した。今戦争中に外貨需要が積み上がり、停戦合意後に外貨が買われている。 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は4月29日、イラン経済の現状を“死のスパイラル”と評し、「国民は自国経済が死のスパイラルにはまった痛みをもろに感じている」と伝えた。確かに、経済の暴落は目を覆うほどで、ウィーン国際経済研究所のマーディ・ゴドシ研究員は同紙に「もはや生活は不可能。イランの現状はもっとも弱い状態にある」と語っている。 同氏の指摘通りで、「戦争開始以来、100万人以上が職を失った。製造業、小売業、鉄鋼や輸入原材料に依存する業種は全て、全土でビジネスは閉鎖された。エレクトロニクスは供給が乏しく、購入できない。食糧や医療品は一般家庭には手が届かなくなった。市民は


時の焦点<国内> 米比合同演習
本格参加を抑止力向上に 「海洋強国」を掲げる中国は軍の近代化を進め、東・南シナ海や西太平洋で挑発行為を繰り返している。アジアの安全を守るには、日米同盟を強化し、同志国との協力を深めることが重要だ。 米国とフィリピン両軍が主催する多国間の合同軍事演習「バリカタン」が、南シナ海などで4月20日~5月8日に行われた。豪州やフランス、カナダなども加わったこの演習に、自衛隊が初めて本格的に参加した。 陸海空の3自衛隊は、離島への上陸阻止を念頭に置いた訓練に加わった。陸自は、地対艦誘導弾の実弾射撃も行い、米比両軍などとの連携を確認した。サイバー防衛隊は、各国のサイバー部隊と図上訓練などを行ったという。参加した自衛隊員数は計1400人にのぼる。 実戦的な訓練を通じ、各国の装備品の運用状況や、指揮命令系統を確認できれば、有事の即応能力は高まるだろう。 イランを攻撃した米国は、アジアの戦力を中東に割いている。このためアジアに「力の空白」が生じかねないと懸念する声は多い。 日本は、アジアの安定に米国の抑止力が欠かせないことを粘り強く米国に説かなければならない。同時に


朝雲寸言(2026年5月14日付)
陸上自衛隊の装備品に84ミリ無反動砲という火砲がある。別名カール・グスタフ、スウェーデンが開発した肩撃ち式の無反動砲である。主として普通科部隊などが対戦車火器として使用するほか、地域目標の制圧、照明および発煙など軽量で操作容易な火砲である。 スウェーデンは1814年のナポレオン戦争終結後、国家の政策として中立を維持してきた。一方でスウェーデンは武器輸出国としても知られている。独自の運用構想に基づくグリペンと呼ばれる戦闘機や対空機関砲・無反動砲や哨戒艇などが有名で多くの国で使用されている。 平和的な中立国家でありながら積極的に武器を輸出するという政策は大いなる矛盾ともいえる。2024年のスウェーデンの1人当たりの武器輸出額は過去最高を記録し世界第3位となった。武器輸出は国際紛争を助長するという主張がある半面、自国の国防費を抑制し地域の抑止力を向上させるという側面がある。 それでもスウェーデンはロシアのウクライナ侵攻を受けてNATOへの加盟を決定した。200年間続いた中立政策の大転換である。中立を維持するのも他国と同盟を結ぶのも国家にとっては相応の覚
<春夏秋冬> アニメで士気高揚? 酒井 啓子
2月末に始まった米・イスラエルによるイラン攻撃は、ホルムズ海峡封鎖で世界経済に深刻な影響を与えている。戦争は予想に反して長期化しているが、この間イランが流している戦時広報ビデオがよくできている、と話題だ。


前事不忘 後事之師 第124回 バルト三国訪問記(3)
―リトアニアの防衛産業戦略 (主権的能力の確保)から学ぶ― 今年1月のバルト三国視察の目的は三国の防衛産業を調査することでした。リトアニアでは、国防省において防衛産業政策についての説明を受けました。国防省で受けたブリーフィングの冒頭で、「国防省の防衛産業政策の主目的は、軍の近代化とSovereignty Capability(主権的能力)の確保である」との説明がありました。


時の焦点<海外> イラン攻撃と核
瀬戸際に立つNPT 「核拡散防止条約(NPT)に加盟していて何かいいことがあるのか、というシニシズムが非核保有国に広がっている」。国連本部で4月末から始まったNPT再検討会議。それを前に日本記者クラブで会見した中満泉・国連事務次長はこう率直に語った。 ロシアのウクライナ侵攻や米国とイスラエルのイラン攻撃で、核を巡る状況は悪化の一途をたどっている。2015年、22年と過去2回の会議は核大国の対立で合意文書を採択できなかった。5月下旬までの今回会期でも不採択となれば、NPTは空洞化する。 1970年発効のNPT(加盟191カ国・地域)は、67年までに核を開発していた米露中英仏の5カ国のみに核保有を認めている。加盟国に原子力平和利用の権利を保障する一方、核保有国には「誠実に核軍縮交渉を行う義務」(第6条)を課すことで、5カ国の特権に不満を持つ非核保有国をなだめてきた。 ちなみに非加盟国のインド、パキスタン、イスラエルはNPTの枠外で核を開発し、北朝鮮は途中脱退して核保有国となった。NPTの限界が言われるゆえんだ。 今回のイラン攻撃はそのNPTの課題をあ


時の焦点<国内> 日本とNATO
装備品での相互協力を 北大西洋条約機構(NATO)に加盟する32カ国のうち、30カ国の大使らが韓国と日本を相次いで訪れた。NATOの訪問団としては異例の規模だ。 欧州各国のイラン軍事作戦への関与が不足しているとして、トランプ米大統領がNATO脱退を示唆する中での訪問でもあった。欧州各国は米国頼みを脱するため、米国以外との協力を模索している。 軍事分野で高い開発・生産能力を持つNATOとの連携は、日本にとっても安全保障に限らず、経済成長の後押しにもなるだろう。 日本への訪問では、茂木敏充外相と面会した。茂木氏が「欧州・大西洋とインド太平洋の安保は不可分だ」として、同盟国や同志国との連携の重要性を強調した。NATO側も「日本との協力関係を一層発展させたい」と応じた。 訪問団は小泉進次郎防衛相、赤沢亮正経済産業相らとも面会したほか、装備品を製造している大手電機メーカーの神奈川県内の工場や、米軍横須賀基地を視察した。韓国でも防衛産業の現場を視察したという。 ロシアによるウクライナ侵略以降、NATOは日本や韓国、豪州など、インド太平洋の国々との協力を進める


朝雲寸言(2026年5月7日付)
まぶしい青葉、道行く半袖姿の人々、入社したての新入社員。街にフレッシュな風が吹いている。だが、足元には不穏な動きも見える。 本人に代わって辞意を伝える「退職代行サービス」である。サービスが入社当日に始動した例もある。中には弁護士法に抵触する「非弁行為」の疑いがもたれる業者もいるという。便利で効率的なサービスの落とし穴だ。 もちろん、心身を病むような職場からは一も二もなく離れる必要がある。辞めさせない企業も厄介だ。サービスが力を発揮する場面かもしれない。 そもそも転職自体に非はない。充実した人生のための転職は、自己決定権の範疇(はんちゅう)にある。より高いポストや収入を求めて古巣から旅立つ層は、むしろ頼もしい。 だが、「思っていた仕事と違った」「なんとなく上司がうざい」という程度の所感からであれば、立ち止まるべきだ。そんな時、代行サービスを使おうものなら、どこかこそこそとした退職にならないか。その後の人生にプラスとは言えまい。 サービス利用で晴れて退職できたとして、次の会社は本当に好きな仕事をさせてくれるのか。結局、何度も利用する羽目にならないか。
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