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朝雲寸言(2026年3月26日付)

3月26日
読了時間: 2分

更新日:5月21日


南北朝時代の若き公家武将北畠顕家の戦いを描いた小説がある。その冒頭近く主人公が陸奥守任官として東北に赴く場面に以下の文章がある。「(任地に赴く指揮官が)最初に戦わなければならない相手は配下につけられた諸将である」。


新任地に赴任する指揮官には克服しなければならない相手が三つあるという。一つ目はいつか戦うであろう敵である。二つ目は任地とその地域に生きる人々である。そして三つ目が指揮する部隊の隷下部隊長である。


今年も年度末の人事異動で多くの部隊長が着任された。初級幹部時代から自己研鑽(けんさん)を積み、要職を経て勇躍新任地に赴任された指揮官の方も多いであろう。新指揮官を迎える部隊も今度の指揮官がどんな人物なのか期待と不安を抱いていることだろう。


実力集団を任された指揮官に与えられた期間はおよそ2年、決して充分な時間ではない。その短い在任期間で部隊を鍛え、地域との連携を深め、有事即応の態勢を維持する責任が指揮官にはある。


ナポレオンの格言として知られる狼と羊の例え話は部隊が指揮官次第で良くも悪くもなるという組織運営の大原則である。


先日、防衛大学校の卒業式で高市総理大臣は「私も自衛官の宣誓を胸に刻み日々職務に当たっています」と訓示した。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下で若き幹部候補生として巣立つ卒業生諸官に敬意を表し、その前途に幸あれと祈る。


(2026年3月26日付『朝雲』より)

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