朝雲寸言(2026年3月5日付)
- 3月5日
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更新日:2 日前

若者言葉に勢いが足りない。昨年の若者の流行語は「〇〇界隈」「エッホ、エッホ」などだった。「〇〇界隈」は「人付き合いキャンセル界隈では」といった使い方。地理的概念が団体概念に転じている。こぢんまりしている上、何ともじじくさい。「エッホ、エッホ」はSNS上ではやった。「よいしょ、よいしょ」の感覚に満ちている。
ひところはどうだったか。接頭辞として「超」「鬼」「神」をつけ、言葉を強調する。関西弁の「めっちゃ」も加わり、これらは今や「市民権」を得ている。
1990年代のコギャル文化では「最低」と言わず、「チョベリバ」(超ベリー・バッド)と言ってのけた。当時、都内の電車で高校生女子が「ワタシのマイブームなんだけど、今日CCBなんだよね」「何それ?」「コンディション、かなり、バッド」。共有できるレベルをはるかに超えていた。
言語学者は言葉の乱れを嘆くのだろう。しかし、中高生女子たちによる、歴史もルールも蹴散らす恐るべき破壊力はダダイズム的ですらあり、輝かしい。ここに未知の表現の原野が広がっているかもしれないからである。多様な豊かさも感じさせる。
今の若者は「間違えること」「目立つこと」を恐れすぎるきらいがある。宏遠(こうえん)な希望も描きにくい。だからこそ、それを超然と吹き飛ばす新しい言葉がほしい。若者言葉の「破壊力指数」。この高まりが社会を豊かにするカギを握っているのかもしれない。
(2026年3月5日付『朝雲』より)






