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コラム


時の焦点<国内> NATO大使来日
防衛協力深めたい 北大西洋条約機構(NATO)に加盟する32カ国中、30カ国の大使らが来日し、茂木外相や小泉防衛相らと会談した。来日前には、韓国も訪問したという。NATOの訪問団としては異例の規模だ。 米国が国際秩序に背を向け、世界中に動揺が広がっている。トランプ米大統領は、イランに対する軍事作戦を巡り、欧州各国が非協力的なことに不満を示し、NATO脱退までちらつかせた。米国をもはや予測不能な「Rogue State」(ならず者国家)と呼ぶ日本の外交官もいる。 欧州各国は、これまでのように米国を頼った安全保障は成り立たないと考えているという。アジアを含めて国際社会の安定を図るには、日韓両国との協力が不可欠だとみているようだ。 日本にとっても軍事分野で高い開発・生産能力を持つNATOとの連携は、抑止力を高めることにつながる。 日本は多国間協調の枠組みとの協力を深め、紛争防止に努めなければならない。自由貿易や法の支配といった秩序の回復に努めることが大切だ。 茂木敏充外相はNATO大使らとの会談で、「欧州・大西洋とインド・太平洋の安全保障は不可分だ」と
<春夏秋冬> アメリカよ、 どこにいく 前嶋和弘
はじめまして。今回から「春夏秋冬」を担当させていただく前嶋と申します。アメリカの政治外交を専門とする政治学者です。 そのアメリカ。皆さんにおそらく共通するのが次のご意見ではないでしょうか。「アメリカよ、どうなってしまったのだろう」


朝雲寸言(2026年4月23日付)
2016年4月、熊本県で地震が発生した際に動物園からライオンが逃げ出したという情報が画像付きでSNSに投稿された。投稿は1万回以上リポストされ、動物園には問い合わせの電話が殺到した。 24年8月、水平に広がる「地震雲」と呼ばれる雲の画像と共に「巨大地震が来る」と発信された偽情報が拡散した。南海トラフ地震の臨時情報が発表された直後のことだった。 雲が地震の前兆となることはない。しかし偽情報は瞬く間に日本各地に広まった。まさにSNSの広がりの凄さを認識させられた出来事だった。 ユネスコは偽・誤情報を三つに区分している。(1)偽情報:個人、社会、組織または国に危害を与えるため、虚偽かつ故意に作成された情報(2)誤情報:虚偽の情報であるが危害を引き起こす意図で作成されたものでないこと(3)悪意ある情報:事実に基づく情報を個人、組織または国に危害を加えるために使用すること。 認知戦とはSNSやAI技術を駆使して敵対国や世論の「認識・心理・感情」に働きかけ、物理的な戦闘なしに相手の意思決定や行動を自分に有利な方向へ誘導する戦略的な情報戦をいう。現代の戦争は私


時の焦点<国外> 米国の戦争
チャーチル不在の悲劇 まるでジャズの即興演奏のように、先が読めないトランプ米大統領の言動。イランとの停戦の行方もなお霧の中だ。 トランプ氏の頭にあるのは、政治日程だろう。5月の米中首脳会談、7月の建国250年、11月の中間選挙。直近には4月27日のチャールズ英国王の国賓訪問が控えている。英国王とのツーショットは「私たちに国王はいらない」デモへのあてこすりとなる、トランプ氏の晴れ舞台だ。 米英両国は第2次大戦後、長く「特別な関係」と呼ばれてきた。「血は海水より濃い」と語り、ルーズベルト米大統領との友情を育んだチャーチル英首相が源流だ。 人種・言語・文化を同じくするアングロサクソン同盟は、戦後世界の自由と秩序の支柱となってきた。ジョン・ミーチャム元ニューズウィーク誌編集長は、著書「フランクリンとウィンストン」で「米国の大統領と英国の首相がキャンプデービッドの森を散策し、大西洋を挟んで電話で話す時、2人はルーズベルトとチャーチルのスタイルと影の中でそうしているのだ」と指摘する。 その米英関係はいま、大きな岐路にある。 軍事経済両面で米英の格差が拡大し、


時の焦点<国内> 即応体制の強化
抑止力の確立を急げ 周辺国の軍拡が進む中で国民の命と暮らしを守り抜くためにはミサイルによる迎撃に加え、相手の拠点を無力化する反撃能力を備える必要がある。自衛隊が有事に即応できるよう体制の整備を急がねばならない。 陸上自衛隊が、敵の射程範囲外から攻撃できる国産の「スタンド・オフ・ミサイル」を、熊本県の健軍駐屯地と静岡県の富士駐屯地に配備した。 熊本には、「12式地対艦誘導弾能力向上型」から名称変更された「25式地対艦誘導弾」が配備された。 射程は1000キロメートルを超え、中国沿岸部や北朝鮮にも到達するとみられる。この誘導弾の配備により、日本を狙って弾道ミサイルなどが発射された場合、その拠点を叩くことが可能になる。 一方、静岡に配備した「25式高速滑空弾」は、迎撃されにくい高高度を超音速で飛ぶ点が特徴だ。射程は数百キロメートルだという。主に離島防衛に活用する方針だ。 今回の配備により、自衛隊は初めて反撃能力を持つことになった。ミサイルを発射する敵基地を、直接破壊することが可能になる。 ミサイルは今後、北海道や宮崎県の陸自駐屯地にも配備される。海自の
<春夏秋冬> 侮れぬ北朝鮮の強靱性 平岩俊司
ベネズエラの大統領拘束、イランの最高指導部への空爆を見るとき、北朝鮮に対する「斬首作戦」なるものが実際にあるのか、と思わされる。 この2つの事例に金正恩総書記が強い警戒感を持ったことは間違いないだろう。 その一方、アメリカにとって思惑通りの展開だったのだろうか。たしかに、ベネズエラについては電撃的に大統領を拘束してアメリカの司法に委ねることができ、体制については「民主化」ではないものの実質的な体制転換が起きた。


朝雲寸言(2026年4月16日付)
「散る桜 残る桜も 散る桜」(良寛)。桜が散り始めている。日本人は平安期ごろから桜を愛(め)でて盛んに和歌を詠み、咲く姿、散る姿に無常観も投影してきた。 中世の鴨長明「方丈記」や「平家物語」、それ以降の多くの作品にも無常観が底流している。▽西洋の「石の文化」に対し、東洋は「木の文化」といわれる。ギリシャのパルテノン神殿は残りやすく、日本の神社仏閣はそのままでは残りにくい。 松浦晃一郎氏が第8代ユネスコ事務局長だった2006年から、ユネスコの「無形文化遺産」制度が始まった。アジア初の事務局長という意気込みもあったのだろう。有形の「世界遺産」だけでなく、世界の伝統芸能や祭、技術といった無形の文化財に光を当てようとした。慧眼(けいがん)である。 松浦氏がこの制度を主導した内心には、無常観に裏打ちされた日本人的心性が宿っていたはずだ、とみるのは穿(うが)ち過ぎだろうか。同氏と直接言葉を交わした際、この点については明言を避けていた。が、無常を肯定的にとらえる姿勢は否定しなかった。世は常ならず。無常は希望の母ともなり、絶望の母ともなる。対立するものが、あざな


時の焦点<海外> 対イラン攻撃
曖昧さを心理的武器に イランの最高指導者ハメネイ師の殺害で、同師と他の指導者との秘密会合の日時、場所をピンポイントで突き止めた功をめぐって、米、イスラエルの両説がある。どちらにせよ、米中央情報局(CIA)・米軍・イスラエル対外諜報機関モサド・イスラエル軍のチームワークは、イラン現体制を大混乱に陥れた。 実際、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」(3月18日)によると、モサド工作員はイラン警察高官に高飛車な物言いをしている。同紙が調べた両者の会話(ペルシャ語)の内容。 モサド「聞こえるか?あなたのことは何でも知っている。我々のブラックリストに載っているのだ」 イラン高官「分かった」 モサド「警告しておく。あなたは国民の側に立つべきだ。そうでないと、指導者と同じ運命になるぞ」 同高官「コーランにかけて誓う。私はあなたの敵ではない。我々を助けに来てくれ」 まだ存命の一部指導者の心理状態を想像すると――。仲間が日ごとに消えていく。モサドが2024年にレバノンのシーア派武装組織ヒズボラに仕掛けた数千個のポケベル爆発作戦で、戦闘員約40人が死亡、3000人


時の焦点<国内> 日仏首脳会談
秩序回復へ欧州と連携を 国際秩序を主導してきた米国が「法の支配」を軽視するようになり、世界は、「力の支配」が横行する弱肉強食の時代に変わりつつある。 危機時に米国の軍事力を頼れないとなれば、ミドルパワーの国や新興国は自衛のための軍拡を急ぎ、核への依存を高める可能性もある。人道危機への関心も薄れ、貧困が広がりかねない。 日本は、自由貿易などの秩序の受益者の立場にとどまっていてはならない。国際秩序の立て直しに向けて、積極的に役割を果たすべきだ。 フランスのマクロン大統領が来日し、高市早苗首相と会談した。両首脳は、米国とイスラエルによるイラン攻撃がきっかけで高騰した原油などの安定供給や、ホルムズ海峡の航行の安全確保などの重要性を確認した。 フランスは今年、先進7カ国(G7)の議長国を務めている。マクロン氏の来日は、6月のG7首脳会議を前に、中東やウクライナ情勢に関する意見をすり合わせておく狙いがあったのだろう。 米国のトランプ大統領は国民向けの記者会見で、イランへの軍事行動について、「終結は近い」と述べた。だが、具体的な時期は示さなかった。記者会見前の


朝雲寸言(2026年4月9日付)
陸上自衛隊が所在する場所を「駐屯地」と呼ぶ。一方で海上自衛隊や航空自衛隊が所在する場所は「基地」である。なぜ呼び方が違うのか疑問を持つ方も少なくない。 両者を英語にするとわかりやすい。駐屯地とはCAMP(キャンプ)であり、一時的な場所を表している。基地とはBASE(ベース)であり、平素から有事を通じて永続的に所在する場所を表す。 陸上自衛隊の部隊配置は、災害派遣への対応や平素の教育訓練、隊務運営を考慮して我が国の行政区に応じて配置されている。いったんことが起これば、陸上自衛隊の部隊は駐屯地を離れ、作戦目的に応じて機動的に運用される。師団や連隊は一定期間、野外で独立的に行動することが基本なのである。 しかし、港湾や飛行場などの特別な機能が必要な海上・航空自衛隊の所在地は、平時から有事を通じて戦力発揮の基盤であり、継続的に所在部隊や来援する艦艇や航空機を支援する。 先日、陸上自衛隊健軍駐屯地に25式地対艦誘導弾が、また富士駐屯地に25式高速滑空弾が配備された。射程1000キロ超と言われる誘導弾は、いわゆる反撃能力を具体化する装備品で我が国の抑止力向上
<春夏秋冬> 4月 若者と安全保障 鈴木敦夫
新聞を読んでいると、内閣支持率をはじめ各種の世論調査関連の記事が目にとまります。自衛隊に関するものも数多くあります。 その中でも、内閣府による「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」は1969年からおおむね3年ごとに実施されていて、定点観測という視点からも興味深いものです。「自衛隊に良い印象を持っている人が9割を超えた」「自衛隊への関心が過去最高となった」と報じられる、あの世論調査です。過去の調査結果の推移も記述されているので、過去との比較も可能です。


前事不忘 後事之師 第123回 バルト三国訪問記(2)
バルト三国の地図 国防を同盟に頼ることの意味を考える 前回の連載で書きましたが、1月にバルト三国を訪れ、国防省や防衛産業などで防衛関係者と議論してきました。そのうち何人かから発せられた言葉の一つが「私の国は小国ですから」というものでした。私は、当初、この言葉に、三国が抱える戦略上の課題に対する“諦観(ていかん)の響き”を感じましたが、その後、よく三国の状況について調べてみると、私のこの感想はあやまりであることに気づきました。


時の焦点<海外> 米のイラン攻撃
「死に体」のNATO 「イランの軍事施設を破壊した」と強調するトランプ米大統領だが、破壊したのはそれだけではない。戦後の自由世界を支えてきた北大西洋条約機構(NATO)もまたトランプ氏によって破壊され、いまや「死に体」の感すらある。 根回しもなく始めたイラン攻撃に非協力的なNATOにいら立つトランプ氏は、米国抜きのNATOは「張り子の虎」だ、と皮肉った。「張り子の虎」とは、トランプ氏がロシアやイランに対して使ってきた侮蔑の言葉だ。 侮蔑といえば、アフガニスタンにともに派兵したNATO同盟国を「彼らは前方から少し離れたところにいた」と揶揄(やゆ)する発言もあった。現実にはアフガンで英国は457人、フランスは90人以上、ドイツも59人の戦死者を出している。 米国に加担を迫るトランプ氏に対し、同盟国としての犠牲をこけにされた欧州側が「これは我々の戦争ではない」(メルツ独首相)と一線を引くのは当然だろう。 イラン情勢で小休止となった感のあるグリーンランド領有問題でも、デンマークが米国の軍事侵攻に備えて自ら滑走路爆破を計画していたと報じられるなど、NATO


時の焦点<国内> G7外相会合
役割は依然重い 戦後の国際秩序を主導してきた主要7カ国(G7)の姿は変わりつつある。米国は国際法違反の可能性が高いイラン攻撃に踏み切り、フランスは核軍縮に取り組む義務を放棄するかのような戦略を打ち出した。 世界の6割を占めていたG7全体の国内総生産(GDP)は4割にまで減った。とはいえ、G7が国際平和に負う役割は依然として重い。 アジア唯一のメンバーである日本には、G7の場を通じて法の支配の重要性を訴えつつ、国際世論にも賛同を広げていく役割が求められている。G7の外相会合が議長国のフランスで開かれた。イラン情勢に関する共同声明では、民間人や民間施設に対する「攻撃の即時停止」を求めた。 また、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡について、航行の自由を恒久的に回復する必要性を確認した。イランは石油の重要な輸送ルートであるホルムズ海峡を封鎖し、ペルシャ湾岸の国のエネルギー関連施設も攻撃した。 原油価格を高騰させて米国に攻撃をやめさせる狙いがあるのだろうが、世界経済を混乱させるだけの行為だ。イランの攻撃を受ける湾岸諸国の国々からは、イランの行動に理解を


朝雲寸言(2026年4月2日付)
「推し活」という言葉を聞いたことがあるだろうか。アイドルやアニメのキャラなど「推し」と呼ばれる存在を応援し、お金や時間、感情を投じる行為だ。 財務省広報誌「ファイナンス」によると、昨年時点で15~79歳の3人に1人が推しを持つらしい。民間の調査・研究機関「推し活総研」のデータでは年間4兆円規模の市場に急成長している。選挙すら推し活の構図に取り込まれているともいう。 打ち込む対象があるのは悪くない。知人の60代女性も最近アイドルの推し活に目覚めた。推しの話に目を輝かせているから、一種の若返り効果があるのかもしれない。 しかし、推しが人の場合、引退やスキャンダルなどの否定的変化が生じると、尋常ではない落胆につながる。別の推しに転戦できればよいが、そうできないこともよくある。すると、情熱が燃え尽き、自己が空洞化してしまうとの精神医学上の指摘も出ている。 推しのコミュニティーの同調圧力で、楽しみが義務となって疲弊するケースもある。推しに恋人ができようものなら喪失感は容易に攻撃性に転じ、SNSで誹謗(ひぼう)を垂れ流すことになりかねない。...
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