時の焦点<国内> 日仏首脳会談
- 4月8日
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更新日:5月13日

秩序回復へ欧州と連携を
国際秩序を主導してきた米国が「法の支配」を軽視するようになり、世界は、「力の支配」が横行する弱肉強食の時代に変わりつつある。
危機時に米国の軍事力を頼れないとなれば、ミドルパワーの国や新興国は自衛のための軍拡を急ぎ、核への依存を高める可能性もある。人道危機への関心も薄れ、貧困が広がりかねない。
日本は、自由貿易などの秩序の受益者の立場にとどまっていてはならない。国際秩序の立て直しに向けて、積極的に役割を果たすべきだ。
フランスのマクロン大統領が来日し、高市早苗首相と会談した。両首脳は、米国とイスラエルによるイラン攻撃がきっかけで高騰した原油などの安定供給や、ホルムズ海峡の航行の安全確保などの重要性を確認した。
フランスは今年、先進7カ国(G7)の議長国を務めている。マクロン氏の来日は、6月のG7首脳会議を前に、中東やウクライナ情勢に関する意見をすり合わせておく狙いがあったのだろう。
米国のトランプ大統領は国民向けの記者会見で、イランへの軍事行動について、「終結は近い」と述べた。だが、具体的な時期は示さなかった。記者会見前の英紙とのインタビューでは、北大西洋条約機構(NATO)からの脱退に言及した。フランスを含む欧州諸国が、対イラン軍事作戦に非協力的なことに不満で、いら立っているようだ。
今回の米国などによるイラン攻撃は、国連決議に基づいていない。国連憲章で認められた自衛権の行使にあたるかどうかも疑わしい。そうした国際法違反の可能性がある軍事作戦に踏み切った米国に、欧州側が距離を置こうとしているのは無理もない。
ただ、米欧間の亀裂が深まれば中国やロシアを利するだけだ。日本は、極めて緊密な同盟関係を生かして、米欧の橋渡し役を果たしていく必要がある。
トランプ氏は、自国の利益につながることを優先しがちだ。多国間の協調体制がいかに米国の国益にかなっているか、日本は米国に説き続けることが重要だ。
今年に入り、G7メンバーではイタリア、英国、カナダの首脳も来日した。マクロン氏の来日直前には、インドネシアのプラボウォ大統領も日本を訪問し、高市首相と首脳会談を行った。
各国首脳とも、国際秩序の回復に向けては、平和や規律を重んじる日本の協力が不可欠だ、と考えているのではないか。
日本は、日米同盟の強化はもちろん、欧州や豪州といった同志国との多国間協調の進展を主導していきたい。経済の成長で存在感を増したグローバルサウスなど新興国との協力を深めていくことも大切だ。
夏川明雄(政治評論家)






