時の焦点<国内> 宇宙政策と防衛
- 7月1日
- 読了時間: 2分

監視機能を強化せよ
航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編するための改正防衛省設置法が成立した。
防衛省は速やかに新組織を発足させる。自衛隊の名称が変更されるのは、1954年の陸海空3自衛隊の発足以来、初めてのことだ。
2020年の発足当初約20人だった宇宙領域の専門部隊の名称は、今年度中に「宇宙作戦集団」となり、880人に増員される。
空自が任務を宇宙に広げるのは、中国やロシアが他国の宇宙システムを妨害する「キラー衛星」などの能力を高めているためだ。キラー衛星は相手国の衛星をロボットアームで妨害したり、電磁波などで無力化したりする。
中露両国はキラー衛星の開発を進め、衛星同士を近づける実験を繰り返している。中露はまた、それぞれ自国の衛星を他国のものに見立ててミサイルで破壊する実験を行い、攻撃の有効性を確認したようだ。
日本の衛星が攻撃されれば、国民生活の機能が損なわれるだけでなく、衛星による監視・偵察を通じた自国の防衛もおぼつかなくなる。キラー衛星などへの抑止力を高めることは不可欠だ。
自衛隊は23年から、宇宙領域把握(SDA)と呼ばれる任務を実施し、不審な人工衛星や衛星に衝突する恐れのあるスペースデブリ(宇宙ごみ)を監視している。
今年度はさらに、SDA衛星の初号機を打ち上げる。現在は地上のレーダーから宇宙を監視しているが、静止軌道を周回するSDA衛星を加えれば、より詳細に状況を把握できるようになる。
このほか、民間の商用衛星を監視や情報収集に活用する構想もある。航空宇宙自衛隊は、他国からの攻撃だけでなく、民間の衛星や宇宙ごみの監視にも努めなければならない。
宇宙での軍拡競争は激しさを増している。宇宙開発を軍の近代化に深く結びつけているとされるのが中国だ。軍用と見られる衛星の数は、24年には約240基となり、米国を大きく上回っている。
中国はそれらの衛星を日本上空に高い頻度で通過させ、自衛隊や米軍基地を偵察しているという。ロシアは宇宙への核兵器の配備を計画しているとされる。
国連安全保障理事会では24年、宇宙空間への核兵器配備を禁じる決議案が提案されたが、ロシアが拒否権を行使して否決された。
一方、米国も宇宙空間に多数のミサイル迎撃装置を配備する計画を進めている。
1967年発効の宇宙条約は核兵器を宇宙に置くことを禁じる一方、迎撃装置に関しては規定していない。日米も中露も条約を批准しているが、その実効性は乏しいと言わざるを得ない。
日本は国連の場で、宇宙空間での新たなルールの必要性を訴えていく必要がある。
霜月 荘六(政治評論家)






