時の焦点<国内> 防衛白書

「新しい戦い方」を分析
世界各地で戦争が繰り広げられ、その領域は陸海空から宇宙やサイバー、電磁波へと広がっている。特に、無人機(ドローン)の登場は戦場の光景を変えた。
新たな危機の時代に日本の平和と安全を守るには、「新しい戦い」を視野に入れた対応策を練っていく必要がある。
2026年版の防衛白書が公表され、中国の軍事動向について、25年版と同様に「わが国と国際社会の深刻な懸念事項」だと指摘した。また、ウクライナ戦争以降の新しい戦い方について、初めて本格的に分析した。
戦火が続くウクライナでは、安価なドローンが大量に投入され、長射程ミサイルによる大規模攻撃も頻発している。
白書では、ドローンや衛星をネットワークでつないで情報収集することにも触れ、「技術と情報の使い方が大きな意味を持つ」と指摘している。
日本も4月、射程1000キロメートルを超える地上発射型のミサイルを陸上自衛隊の駐屯地に配備した。無人機を島嶼防衛に活用する防衛構想にも着手している。これら装備品の運用は、通信衛星による迅速な情報共有が前提となる。だが、日本の衛星打ち上げ数は依然少ない。
宇宙やサイバー、電磁波といった領域における戦いに対応するための体制を整備し、研究を急がねばならない。
ウクライナ戦争では、SNSなどを通じた宣伝や偽情報の拡散で、人々の認知領域に働きかける「認知戦」も盛んになっている。
日本もこれまで、中国による認知戦に度々さらされてきた。中国が高市政権を「新型軍国主義」と繰り返し批判するのは、認知戦の典型的な手法だと言える。
中国は昨年の軍事パレードで、次世代戦闘機と連携して行動できるドローンなどの新戦力を積極的に誇示した。日本や米国に対し、台湾有事が発生した際のコストの高さを理解させ、優位に立つためだろう。
中国の批判にはその都度反論すると共に、中国の宣伝をうのみにせず、その中身を慎重に分析していく必要がある。
ウクライナ戦争は4年を超え、弾薬や燃料を継続的に供給する継戦能力の重要性が認識されるようになった。
こうした状況を受け、白書では、防衛装備品の生産力や技術基盤強化、継戦能力についても記述を増やした。「平時から十分に確保し、万一の場合は増産できるように対応力を持つことが大切だ」との見解を示した。
装備品の進化も著しくなっている。偵察用だったドローンは長距離攻撃も可能となり、電子妨害に対抗するため、光ファイバーで有線接続されたドローンも登場した。
新しい戦い方は日々更新されている。日本は民間の先端技術も取り込みながら、防衛技術の育成や強化を進めていく必要がある。
霜月 荘六(政治評論家)






