時の焦点<海外> 対イラン戦争

「決着」時期と中間選挙
2026年2月28日に始まった米・イラン戦争は6カ月目に入った。トランプ大統領の強固な支持層でも、作戦の戦果・コストに疑問を抱き始めても不思議はない長さだ。
経済政策では成果を上げてきた一方、国軍最高司令官としてイランに対するアプローチは再三、危険な壁に直面。
同大統領は「イランや他の中東諸国から、ホルムズ海峡の再開放とイランの核問題解決への合意をまとめるための猶予を求められたので、計画していた大規模攻撃は見送る」と表明(8月1日)し、「イランと3日に協議」(2日)とも明かした。
しかし、イランは「米の敵対的行動が続く限り同海峡再開放はない」(2日・同国ファルス通信)、「米との交渉は行われていない。計画もない」(3日・外務省報道官)との対応だ。
トランプ氏は「イラン指導者は二枚舌」と怒り心頭だが、その二枚舌に踊らされる不明への猛省も必要なときだろう。
開戦時、外交政策の目的は明確だった―。(1)イランの核兵器保有阻止(2)長距離ミサイルの脅威除去(3)国際テロ活動の代理人ハマス、ヒズボラ、フーシ派への資金供与切断。
米国は数週間に及ぶイランの防空、海軍、軍事インフラへの攻撃で勝利を宣言し、イランは永続的平和の交渉に応じざるを得まいと見ていた。
だが、数カ月経っても何も解決していない。
理由は根本的なものだ。イランが誠実に交渉しないのは、歴史から一目瞭然。外交はただの時間稼ぎで、合意する前に決まって交渉を行き詰まらせ、長引かせる。
合意も最初から、数日後には違反や再交渉をする意図でいる。
それと、世界の大方と違い、自国民の苦難に対する無関心もあろう。だから、開戦時に自由の到来かと期待したテヘラン市民のデモ隊4000人に発砲し、殺害する。
こうした宗教政治の指導層は、普通の外交上のテコや経済制裁で譲歩に応じることはないだろう。「ディールに応じるか、『全面降伏』か」(3日)と迫ったトランプ氏の今回の“本気度”も不明だが…。
イランに絡む中東での長期間の膠着状態は、国内情勢にも大きくのしかかり、影響は同大統領の政治的信頼度にも急速に波及してくる。
紛争は「まもなく」終結すると最初に明確に宣言したのが3月で、4月、5月、6月、7月にも同様に宣言し、今や8月になった。
長引く戦争の影響で、世界のエネルギー市場は一時著しく混乱し、価格も高騰した。政権の主要政策を盛り込んだ大型の減税・歳出法案(25年7月に成立)では、経済成長率4%、インフレ率2.5%以下と見込まれていたが、戦争が経済の足を引っ張った。
中間選挙がわずか3カ月後なのも、最悪のタイミング。野党・民主党に社会主義者や極左の経済政策を掲げる候補者が多い折、本来なら共和党候補のチャンスだが、戦争長期化のイメージと重なる与党というのも苦しい。
大統領が決定的な軍事・戦略的行動で速やかに決着を付けるよう望んでいるだろう。
草野徹(外交評論家)






