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時の焦点<海外> 北朝鮮の核

  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

宙に浮く非核化の道


イラン戦争が世界の耳目を集める陰で、北朝鮮による核戦力増強が着々と進んでいる。「イランの核開発阻止」だけに焦点があたり「北朝鮮の核開発阻止」が声高に叫ばれない状況は、看過するにはあまりに危険すぎるのではないか。


6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳声明は北朝鮮の核に「深い懸念」を表明し、北朝鮮に対して「完全な非核化」へのコミットメントを求めた。


だが米国はイラン戦争の後始末に精一杯で、欧州はウクライナ情勢とロシアの脅威への対応に神経を注がざるを得ない。かつては米中露日韓に北朝鮮を加えた6カ国協議が外交解決を目指したが、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射を受けて20年近くも休眠状態にある。言葉だけ「非核化」を求めたところで担保する枠組みもないのが現実だ。


憂慮すべきは、周辺大国に北朝鮮の非核化実現への強い意欲が見られないことである。


中国の習近平国家主席がG7サミットの直前に北朝鮮を訪問。金正恩朝鮮労働党総書記との会談発表に「非核化」への言及はなく、黙認したかのような印象を与えた。ロシアは北朝鮮と事実上の同盟条約を結び、ウクライナ侵攻で軍事的な関係を深めている。


肝心の米国は5月の米中首脳会談で「北朝鮮非核化」の共通目標を確認したとされるが、中国側は触れておらず本気度に疑問符がつく。何よりトランプ大統領自身が「北朝鮮は核保有国だ」と公認するような発言を再三しているのだ。


1月公表の米国家防衛戦略(NDS)は、北朝鮮抑止は一義的に韓国が負うとし、米軍は「より限定的」な役割へと後景に置かれた。さらに、在韓米軍のブランソン司令官が対中抑止を念頭に日米韓フィリピンの指揮システムを統合する「キルウェブ」構築を提唱するなど、朝鮮半島より台湾海峡、という戦略シフトへの警戒心が韓国内では強まっている。


7月7、8日に開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、「欧州の防衛は欧州主導で」という米国の基本姿勢が鮮明になった。アジアでも、中国との大国間取引を重視するトランプ政権は「アジアの防衛はアジア主導で」と迫ってこよう。米中露が関与を控えれば、北朝鮮の非核化は宙に浮く。


北朝鮮は50発以上の核兵器を保有しているとみられ、6月23日には核搭載可能とされる新型駆逐艦が就役。金総書記の掲げる「水上戦力の核武装化」が現実になりつつある。核保有の意思はイラン戦争でより強固になったとみていい。


1990年代は「ミサイルを持つ北朝鮮と共存は可能か」が議論されたが、今や「核を持つ北朝鮮と共存は可能か」が問われるところまで来てしまったのか。いや共存できない、と考えるなら、その道筋を真剣に描く国際社会の外交努力が待ったなしだろう。


高旗 良(外交評論家)


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