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時の焦点<海外> 交渉パターン

7月8日
読了時間: 3分

米「合意」、イラン否定


米・イラン交渉を眺めていると、確たるパターンの存在に気付く。米側が「合意」と発表すると、イランは否定。あまりに頻繁なので、米国が意図的にミスリードしているのか、抵抗を続ければ強さの証明になるとイランが勘違いしているのか。


最新例その1―。バンス米副大統領は6月24日、プレス向け声明で「米国は、交渉に進展があればイランの凍結資産の一部解除に同意した。資金は米農産物の購入に充てられる」と確認。トランプ大統領が23日、自身のSNSで、解除された資金は米国産物資の購入に使用されると発表していた。


しかし、イランのガリバフ国会議長とヘンマティー中央銀行総裁は23日、直ちに「イランは米国産品を購入する義務はない」と合意を否定し、トランプ氏に反論した。


その2―。両国は21日にスイスで交渉を開始。しかし、イランはトランプ氏が同国を威嚇したとして協議を離脱したとの一部報道。バンス氏はフェイクニュースと説明したが、イラン代表団は自国メディアに「威嚇は覚書の第1項目に違反」とし、協議離脱をPR。


その3―。「イランは核査察の受け入れに同意した」というトランプ氏の主張(23日)に絡む。同氏はSNSで「イランが抗議や虚偽の発表をしても、同国は将来にわたり最高レベルの核査察を受け入れることに全面的に同意した」と明かし、同国が順守しなければ「今後の交渉はない」と警告した。


しかし、イラン外務省は既にこの数時間前、報道陣に「国際原子力機関(IAEA)の査察官がイランを訪れる予定はない」と発表した。バンス副大統領が前日「IAEAのアクセス実現は画期的」と評価した成果も、どこかへ吹き飛んでいた。


そもそも、イランがアクセスを否定するなら、IAEAがそれでも現地入り・査察を主張して毅然たるところを示すかどうか。これも大いに疑問だろう。


その4―。仮に合意が実現した暁に、イランはどの程度の財政的救済を受けることになるのか。


経済制裁の一部解除や、一日1400万ドルの損失になっている港湾封鎖の解除。凍結資産数十億ドル(金額面は未確認)の解除。言い換えれば、イランが受け取る金額は事実上、誰も知らないということだ。


ガリバフ国会議長は23日、イランはカタールの仲介で、凍結資金を2口座から各60億ドル、計120億ドルの即時解除を受けると述べた。しかし、解除資産は第三者預託口座に移されるというのが米国の主張で、両者の言い分はだいぶ違う。


一体、何がどうなっているのか。両国がそれぞれの支援国、支持層に向けてポーズを取っている可能性は十分ある。いずれ最終合意が成った時、覚書中の一部項目が消えていたり、全く新しい条件が加わっていたりするかもしれない。


さらに米国がひそかにイラン市民に武器を供与し、軍事訓練を行っている―(究極の体制変革への道)―可能性も、荒唐無稽とは言い切れない気もする。


長く困難な道程のフォローは最大限の忍耐も必要という自明の理に落ち着く。


草野徹(外交評論家)

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