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時の焦点


時の焦点<国内> 臨時国会
強い経済へ論戦深めよ 臨時国会が召集された。高市早苗首相は所信表明演説で、看板政策の「責任ある積極財政」について、「暮らしを豊かにしながら、財政の持続可能性も確保する」と強調した。国債の発行額は、金利や市場の動向などを検証して調節する、とも語った。 「強い経済」と「財政の持続可能性」をともに実現しようという首相の決意は理解できる。問われているのは、その具体策だ。 金融市場は、首相の経済政策が財政を悪化させ、円安を招いていると警戒感を強めている。年末の来年度予算編成では、さまざまな政策の効果を見極め、財政規律にも目配りした配分とすることが欠かせない。 今国会では、食料品の消費税率を来年4月から2年間、8%から1%に引き下げる法案が焦点となる。首相は家計に「ゆとり」を生み出したいと理解を求めたが、財源は特例公債に頼らない、という考えを示すにとどめた。 消費税の減税に伴う税収減は、年間4.3兆円に上る見通しだ。この財源を明確にしないままでは、「財政の持続性」を確保すると言っても、説得力に欠ける。 一方、首相は国際情勢に関して、「力による現状変更は世界の


時の焦点<海外> イラン情勢
同盟も代理勢力も衰退 イランは対イスラエル攻撃に関して卓越したアイデアを示してきた。自国の「代理勢力」がイスラエルにテロを行っても、イランに説明責任の追及は及ばないのだから。 レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ、パレスチナ自治区ガザのイスラム・テロ組織ハマス、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に加え、イラク、シリアにいるシーア派イスラム教徒の民兵組織などだ。イランは長年、これらの組織に大規模な軍事援助、資金供与を続け、それを通じて、中東の地域覇権を主張してきた。 しかし、最近になって、米とイスラエルによる攻撃、ベッセント米財務長官が主導する対イラン「エコノミックDデー」(8月24日発表)の結果、イランが満喫してきた幸せな時代はほぼ終わりつつある。 イランは破綻国家になった。ホルムズ海峡の封鎖では原油輸出で収入を得る道がない。超インフレで、通貨リヤルの価値を問うこと自体が今やジョーク。9月30日には1米ドル=250万リヤルと歴史的安値を更新。 政権指導部の大半は殺害された。トランプ米大統領が国連演説(9月22日)で明かした通り、海軍の全艦船が


時の焦点<国内> 高市改造内閣
有識者会議の議論始まる インテリジェンス(情報活動)機能のあり方を検討する政府の有識者会議が初会合を開いた。高市早苗首相は「我が国でも外国の情報機関員が関わる先端技術の不正流出、官民の重要情報を狙ったサイバー攻撃、偽情報の拡散といった脅威が高まっている。国民の安全や国益を守り抜くためには、情報力強化が不可欠だ」と述べた。 インテリジェンスの司令塔となる国家情報会議と事務局の国家情報局は7月に発足した。有識者会議は、情報活動の指針となる国家情報戦略の内容について議論する。 戦略では、外国勢力による不当な干渉などに直面する中での情報活動の意義や重要性をはじめ、情報部門と政策部門の連携強化、情報活動を担う人材の育成方針、人工知能(AI)に代表される先端技術の活用など、中長期的に進める方策を盛り込む。 専門知識を持つ有識者会議の意見を取り入れながら、中長期の視点も含めた実効性のある戦略とせねばならない。 先の国会で成立した国家情報会議設置法を巡る審議では、政府の情報収集力の強化に対し、プライバシーが脅かされないか、政治的中立や民主的統制が確保されるのかな


時の焦点<海外> 米中関係
戦後物語の書き換え 「二人の指導者は、米中両国が第2次世界大戦の同盟国であり、共に勝利のために戦ったことを想起した」――。9月24日のワシントンでのトランプ米大統領と習近平中国国家主席の会談後、ホワイトハウスが公表したファクトシートにはこう書かれてあった。既にトランプ氏自身が会談前の歓迎式典で口にしていたことであり、その意味では想定内かもしれない。 だが、81年前に終わった戦争の蜜月関係がわざわざ米側公式文書に明記された意味は、軽視すべきではないだろう。 むろん、当時の中国が国民党政権であって現在の共産党政権ではないこと、戦後の米国にとって同盟国は日本と韓国であり中国ではないこと、などを挙げて対抗することはいくらでもできる。 とはいえ問題の本質はそうした教科書的説明の正しさにはない。トランプ氏と習氏が図らずも世界に示したのは、永遠の同盟というものはなく、1世紀も経てば国際政治はいくらでも変動すると言う歴史の法則である。 いや、より正確に言えば中国のそうした歴史認識を巡る手の込んだ刷り込み戦略に、直近の利益しか念頭にないトランプ氏が軽率に乗ってしま


時の焦点<海外> トランプ演説
「邪悪な体制」は決断を トランプ米大統領は9月22日、国連総会で演説した。率直かつ単刀直入ないつもの“トランプ流”で、特に対イラン関係では、決定を遅らせる時は終わったとし、同国に厳しい選択を突き付けた。 今回の対イラン戦争に関しては、左派勢力および声高な素人集団から「不必要な戦争」との批判がある。 これに対し、トランプ氏は「想像してみるといい。邪悪な体制が核の盾の背後で大規模なテロ攻撃を実施する力を得ている。我々が対決しなければならないリアリティーはこれだ。あまりにも多くの人が無視することを好んだリアリティーだ。多くの大統領が無視したがり、この問題で何かするのをためらった。しかし、彼らは問題の存在を知っていた」 知っていたのに何もしなかった。議会内で響き渡る「米国に死を!」のシュプレヒコールも、いずれ消えてなくなるだろうと期待した。 しかし、実態はもっと悪かった。オバマ政権はイランに数十億ドルもの金を極秘に送った。しかも、出どころを明かさないように「現金」で、また目立たないように深夜の航空機で送った。その後、一般市民の生活が楽になったという話は聞


時の焦点<国内> 高市改造内閣
維新は責任自覚せよ 内外の課題は山積している。第2次高市改造内閣と与党は連携を密にし、「強い経済」の実現と積極的な外交・安全保障政策の推進に全力を挙げてもらいたい。 高市早苗首相が自民党役員人事と内閣改造を行い、第2次高市改造内閣が発足した。内閣の要となる木原稔官房長官、茂木敏充外相、片山さつき財務相、小泉進次郎防衛相らを続投させた。党役員は麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長、小林鷹之政調会長らを再任した。 首相は党の会合で「公約の実現に向けて総力を挙げた執行体制とする」と述べた。政権の骨格となる顔ぶれを維持し、安定を重視したのは妥当と言える。 これまで閣外協力だった日本維新の会からは中司宏・前幹事長を規制改革相に起用した。閣僚を出したからには維新は与党としての連帯責任を自覚し、党の主張を強引に進める姿勢を改めるべきだ。 先の特別国会では、維新の要求で衆院議員定数の削減法案を与党が提出し、野党の反発を招いて国会が空転した。民主主義の根幹である選挙制度について合意形成を軽視する行動は看過できない。 自民内でも定数削減に慎重論がある中、特別国会での法案成


時の焦点<海外> 多極化と中露印
座視できぬ西側世界 ネパール・中国国境の土石流災害は地球温暖化の影響があると指摘されても、原因追及や対策を議論する機運は高まらない。国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が米政権から制裁対象とされても、国際法規範を擁護する大きなうねりは起きない。今の世界にはグローバルな課題解決の先頭に立つ国も、国際秩序の解体を食い止める主役も不在なのだ。 戦後長く、それは米国が担ってきた。だが、9・11同時多発テロから四半世紀、米国が警察官の役目を降りた世界の勢力図は一変した。象徴的なのが、同時多発テロ25年を挟んで開催された上海協力機構(SCO)とBRICSの首脳会議だろう。二つとも中国とロシア、インドが軸となり、人口では世界の半分、経済規模でも四分の一から三分の一以上を占めるグループとしてG7(主要7カ国)の対抗勢力へと成長した。 SCOにはパキスタンも含む核保有国4カ国がおり、中央アジア各国を包含した巨大なユーラシア連合体である。ブラジルや南アフリカが参加するBRICSは、グローバルサウスの一大拠点だ。 中心は中国。SCOでのプーチン露大統領との個別会談で


時の焦点<国内> 防衛費概算要求
指揮統制にAI導入 無人機(ドローン)やAI(人工知能)など新たな技術を取得し、事態の長期化にも対応できなければ、日本の平和と安全を守ることは難しくなっている。「新しい戦い方」に向けた防衛予算が求められている。 防衛省が2027年度予算の概算要求で、過去最大となる8兆9000億円を計上した。政府は22年末の防衛力整備計画で、23年度から5年間の防衛費の総額を43兆円とすることを決めた。今回の概算要求では、43兆円の達成に必要な額が計上された。 高市政権は、計画を含む「安保3文書」を年内に改定する。この改定を前提に、概算要求には具体的な金額を明示しない事項要求の項目が多く並んだ。 防衛費は、年末の予算編成の段階では概算要求の8兆9000億円を上回ることが想定される。精緻な査定を重ね、真に必要な内容とすることが求められるだろう。 米軍再編費などを含む防衛関係費は国内総生産比で2%に達したが、米国は同盟国に防衛費のさらなる増額を求めている。 予算編成に当たっては、日本の防衛に必要な観点で吟味しなければならない。赤字国債に頼らない安定財源を示すことも大切


時の焦点<国内> ICC制裁
容認できぬ米国の横暴 国際刑事裁判所(ICC)を敵視してきたトランプ米政権が、ICCトップの赤根智子所長への制裁に踏み切った。「法の支配」を軽んじる暴挙と言わざるを得ない。日本は赤根氏を支援し、国際法廷を守らなければならない。 米国のルビオ国務長官は声明で、赤根氏らが、ICCに加盟していない米国などの政府関係者の捜査や訴追に直接的に関わってきたと主張し、「国家主権への攻撃は容認しない」と批判した。 ICCがかつて、アフガニスタンなどで活動する米軍人らを捜査対象としたことや、2024年にイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことを念頭に置いているとみられる。ネタニヤフ首相に対する逮捕状は、パレスチナ自治区ガザでの非人道的行為を重大な罪と判断したものだ。 米国もイスラエルもICCに加盟していない。だが、ICCは、検察官や裁判官らの正式な司法手続きを経て訴追している。米国が赤根氏ら個人を制裁するのは筋違いも甚だしい。 米国の狙いは、ICCを機能不全に陥らせることなのだろう。ルビオ氏は7月にICC解体を目指すと表明し、加盟国に脱退を迫っている。どう喝


時の焦点<海外> 米イラン戦争
未解決は国内に悪影響 米軍は8月30日、「イスラム革命防衛隊(IRGC)が機雷搭載のロケット弾をホルムズ海峡に向け発射する準備をしていた」として、同国南部ララク島にある発射台2基を攻撃、破壊した。イランも同日、ヨルダン駐留の米軍基地に弾道ミサイルで報復攻撃。攻撃の応酬は約1カ月ぶりで、再び緊張が高まる気配もある。 今回の事態は、米国の国家安全保障や国内政治の動向にどのような意味を持つのだろうか。 国家安全保障の観点からは、イラン現政権のこれまでの損失は著しい。しかし、同海峡をめぐる危機がほぼ継続している事実が明らかなように、同政権はいまだに「無力化」されてはいない。 また、核兵器保有の“野望”に関しても、それとは真逆の真意が実証されるまでは、重大な脅威であり続ける。 一方、国内情勢に絡むファクターとして見ると、国民は外交政策に関心を寄せていても、外交問題を投票の第一基準にすることはめったにない。 これが世論調査で常に示される傾向であり、国民は国内の安全保障と繁栄に対するインパクトの大小で、海外の出来事を評価する傾向がある。 そのため、経済情勢全般


時の焦点<国内> 海底ケーブル
国が関与し防護強化を 安全保障上の重要インフラであるにもかかわらず、十分な防護策は講じられてこなかった。 海底ケーブルの重要性を考えれば、国の主導で監視体制を強化し、ネットワーク網を守っていく必要がある。 総務省の有識者検討会が、日本と海外の情報通信を担う国際海底ケーブルの防護策を報告した。 海底ケーブルは、銅パイプなどで保護された光ファイバーが信号を電送する。陸上に到達した後、陸揚げ局と呼ばれる施設で国内の通信網に接続される。 検討会は、海底ケーブルを狙った攻撃に対し、国際的な関心が高まっていることを受けて設置された。政府による防護策の本格的な議論は初めてとなる。 バルト海や台湾周辺では近年、ロシアや中国の関与が疑われる切断事案が相次いでいる。 2023年には台湾本島と離島を結ぶ海底ケーブルが切断され、電話やネットが遮断された島では混乱が生じた。 台湾は昨年末、故意の損壊行為に対する罰則を強化した。 海に囲まれた日本は、国際通信の99%を海底ケーブルに頼っている。 仮に障害が発生すれば、インターネットの不通で国民生活が混乱するだけでなく、防衛に


時の焦点<海外> 米朝接近
火遊びにならぬよう モスクワのBBC(英国放送協会)特派員のこのところの解説では、プーチン政権は世界を二つの隊列に分断して考えているのだという。ロシアに友好的な国か、友好的ではない国か。専制権威主義国家とはそういうものだろう。中国しかり、北朝鮮しかり。そこに共通の理念や価値観などはなく、あるのは自国(または指導者)第一の利害打算だけである。 その「友好的な隊列」に米国が加わるとしたら――。長年築きあげた同盟関係より眼前の友好国との実利を優先させるトランプ政権の姿勢は、そんな疑念を生じさせずにはおかない。専制権威体制と一線を画すはずの隊列が、リーダーを失い右往左往しているのが今の世界ではないか。 そんな思いを改めて強くするのが、朝鮮半島情勢を巡るトランプ大統領の最近の発言だ。 トランプ氏は、8月中旬から下旬に行われた恒例の米韓合同軍事演習の規模と期間の大幅縮小を直前になって指示。 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記とは「とても仲が良い」と年内の首脳会談の計画を明らかにし、あげくは「彼は非常に強力な核兵器を57発所有している」と、核保有国であることを公


時の焦点<海外> イラン強硬派
戦争拡大へ極秘に計画 トランプ米大統領が仏ベルサイユ宮殿で、対イラン戦争の終結と同国の核開発問題での合意を目指し、60日間の期限を設定したイランとの覚書に署名したのが2026年6月17日である。そして、8月17日にその期限が切れたが、両国間の隔たりは60日前よりさらに拡大した。相互に相手側の合意違反を非難し続け、合意自体がほぼ何も残っていない。 そんな情勢下、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が16日、「イラン、戦争拡大へ極秘計画」との見出しで報じた。その記事によると、イランの強硬派指導者は戦争をエスカレートさせ、米国の損害を増大させることを準備中だという。 同紙によると、覚書署名後、イランの政府当局者はホルムズ海峡の再開放につながり得る同合意への支持獲得を期したが、強硬派指導者はテヘランで極秘に会合し、政府とは真逆の方針をまとめた。 イランおよびアラブ諸国の当局者が同紙に明かしたところでは、イランの強硬派はこの60日間を米国との大規模な対決への準備に費やした。 同国正規軍に対するイスラム革命防衛隊の指揮・監督を拡大する、実戦経験が豊富な強


時の焦点<国内> 北方領土訪問
露大統領の暴挙だ ロシアのプーチン大統領が8月13日、北方領土の択捉島を訪問した。日露関係を決定的に悪化させる暴挙と言える。日本政府は揺さぶりに動じず、毅然(きぜん)と対処すべきだ。 ロシアの国家元首では、2010年に当時のメドベージェフ大統領が国後島を訪れたことがある。2000年から実権を握るプーチン氏の北方領土訪問は今回が初めてだ。 2022年からウクライナを侵略するロシアに対し、日米欧は、ロシア要人に対する資産凍結などの経済制裁を続けている。苦境に陥ったロシアは、中国へのエネルギー輸出を拡大するなど、中国との経済的関係の強化に動いた。 プーチン氏が択捉島を訪問したのは、高市政権の外交安全保障政策を「新型軍国主義」と呼んで批判を強めている中国と、歩調を合わせる狙いがあったのではないか。 プーチン氏は択捉島を訪問する前日、サハリン州で露軍関係者と会談した際、北方領土は第2次世界大戦の結果、ロシア領になったと述べたという。日露平和条約交渉については、「安倍元首相を含む日本の指導者と建設的な関係を築いていたが、現在、日本側の立場が変化している」と語


時の焦点<国内> 防衛白書
「新しい戦い方」を分析 世界各地で戦争が繰り広げられ、その領域は陸海空から宇宙やサイバー、電磁波へと広がっている。特に、無人機(ドローン)の登場は戦場の光景を変えた。 新たな危機の時代に日本の平和と安全を守るには、「新しい戦い」を視野に入れた対応策を練っていく必要がある。 2026年版の防衛白書が公表され、中国の軍事動向について、25年版と同様に「わが国と国際社会の深刻な懸念事項」だと指摘した。また、ウクライナ戦争以降の新しい戦い方について、初めて本格的に分析した。 戦火が続くウクライナでは、安価なドローンが大量に投入され、長射程ミサイルによる大規模攻撃も頻発している。 白書では、ドローンや衛星をネットワークでつないで情報収集することにも触れ、「技術と情報の使い方が大きな意味を持つ」と指摘している。 日本も4月、射程1000キロメートルを超える地上発射型のミサイルを陸上自衛隊の駐屯地に配備した。無人機を島嶼防衛に活用する防衛構想にも着手している。これら装備品の運用は、通信衛星による迅速な情報共有が前提となる。だが、日本の衛星打ち上げ数は依然少ない
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