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時の焦点


時の焦点<海外> 交渉パターン
米「合意」、イラン否定 米・イラン交渉を眺めていると、確たるパターンの存在に気付く。米側が「合意」と発表すると、イランは否定。あまりに頻繁なので、米国が意図的にミスリードしているのか、抵抗を続ければ強さの証明になるとイランが勘違いしているのか。 最新例その1―。バンス米副大統領は6月24日、プレス向け声明で「米国は、交渉に進展があればイランの凍結資産の一部解除に同意した。資金は米農産物の購入に充てられる」と確認。トランプ大統領が23日、自身のSNSで、解除された資金は米国産物資の購入に使用されると発表していた。 しかし、イランのガリバフ国会議長とヘンマティー中央銀行総裁は23日、直ちに「イランは米国産品を購入する義務はない」と合意を否定し、トランプ氏に反論した。 その2―。両国は21日にスイスで交渉を開始。しかし、イランはトランプ氏が同国を威嚇したとして協議を離脱したとの一部報道。バンス氏はフェイクニュースと説明したが、イラン代表団は自国メディアに「威嚇は覚書の第1項目に違反」とし、協議離脱をPR。 その3―。「イランは核査察の受け入れに同意した


時の焦点<国内> 国会空転
重要法案を蔑ろにするな 国会が空転していたら、象徴天皇制の根本に関わる法改正や、民主主義の土台に影響を与える議員定数の削減案など、重要法案の審議がないがしろにされかねない。与野党は、国民の負託に応えることを最優先に事態を打開すべきだ。 7月17日の今国会の会期末に向けて、与野党の駆け引きが激化している。与党は皇室典範改正案のほか、衆院議員定数削減法案、副首都構想の関連法案を成立させたい考えだが、野党は定数削減や副首都構想に反発し、審議を拒否した。 いずれの案件も丁寧な審議が欠かせない。十分な審議時間を確保するため、国会を延長するのは一案だろう。 政府・与党が最も重視しているのは、皇室典範改正案だ。改正案は、戦後に皇籍を離れた旧11宮家の男系子孫である一般男性を皇族の養子に迎えて皇族とする仕組みと、女性皇族が結婚後も皇室に残る制度が柱だ。ただ、いずれも問題を抱えている。 改正案では、養子本人には皇位継承資格を認めない一方、養子が皇族となった後に生まれた子が男子なら継承資格を持つ、という規定を設けた。政府内では旧宮家の男性が皇族の養子となった後、一般


時の焦点<国内> 宇宙政策と防衛
監視機能を強化せよ 航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編するための改正防衛省設置法が成立した。 防衛省は速やかに新組織を発足させる。自衛隊の名称が変更されるのは、1954年の陸海空3自衛隊の発足以来、初めてのことだ。 2020年の発足当初約20人だった宇宙領域の専門部隊の名称は、今年度中に「宇宙作戦集団」となり、880人に増員される。 空自が任務を宇宙に広げるのは、中国やロシアが他国の宇宙システムを妨害する「キラー衛星」などの能力を高めているためだ。キラー衛星は相手国の衛星をロボットアームで妨害したり、電磁波などで無力化したりする。 中露両国はキラー衛星の開発を進め、衛星同士を近づける実験を繰り返している。中露はまた、それぞれ自国の衛星を他国のものに見立ててミサイルで破壊する実験を行い、攻撃の有効性を確認したようだ。 日本の衛星が攻撃されれば、国民生活の機能が損なわれるだけでなく、衛星による監視・偵察を通じた自国の防衛もおぼつかなくなる。キラー衛星などへの抑止力を高めることは不可欠だ。 自衛隊は23年から、宇宙領域把握(SDA)と呼ばれる任務を実施し


時の焦点<海外> 米イラン合意
中東「Gゼロ」の世界 今年初め、国際政治学者のイアン・ブレマー氏率いる「ユーラシア・グループ」が世界10大リスクのトップに掲げたのは「米国の政治革命」だった。トランプ米政権による制度や秩序の破壊のことである。一年の半ばを過ぎ、それは想定を超えて世界中を侵食しつつあるように思える。 冷戦期の米露のような国際秩序を担う中核国家の不在を「Gゼロ」の世界と呼ぶブレマー氏は、トランプ米大統領のイラン攻撃が「中東を明白にGゼロへと突入させた。残りの世界も同じ道をたどるだろう」と予測する。 米イラン合意を受け、6月17日付の外交問題評議会ウェブサイトに寄稿し、米国がこれまで中東秩序で果たしてきた役割として (1)石油の安定的な流通 (2)イランと中国の影響力排除 (3)地域安保における欠かせない仲介者 の3つを挙げた上で、イラン戦争はそれらの破壊を加速させたと述べた。 同氏の見立て通りGゼロは現実化しつつあり、今の世界には国際的な安全保障を主導する国家も枠組みも見当たらない。米イラン合意と同じタイミングで開かれたG7サミット(主要7カ国首脳会議)は首脳宣言を出


時の焦点<国内> G7サミット
「成果」の実現を主導せよ 米国とイランが戦闘終結で合意した。多くの犠牲者を出し、世界経済を混乱させた戦闘を、ひとまず終わらせることを両国首脳が文書で確認した意義は大きい。今後は、核開発問題などの最終合意を締結できるかどうかに焦点が移る。エネルギーを中東に依存する日本は、中東の安定に向けて最終合意の実現を後押ししていきたい。 一方、仏東部エビアンで開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、昨年同様、包括的な首脳宣言の発出は見送られたものの、ウクライナ支援やエネルギーの安定供給などさまざまな分野で協力していく方針を各国首脳が確認した。 例えば、地域情勢に関する共同声明では、ウクライナへの「揺るぎない支持」を表明し、ロシアへの経済制裁を強化する方針が盛り込まれた。ウクライナに防空システムや長距離ミサイルを継続して供給していくことも明記された。 昨年のサミットでは、ウクライナ情勢に関する声明を出せなかった。当時、トランプ米大統領がロシア寄りの姿勢を示していたことが影響した。今回、あらためてウクライナを支える点でG7が足並みをそろえたことは評価でき


時の焦点<海外> 停戦60日間延長
米、「検証」を最重要視 トランプ米大統領は6月14日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、「イランとのディール(取引)が完了した」と発表した。 米軍によるイラン港湾の海上封鎖は既に解除され、ホルムズ海峡も開放されたと述べた上、「世界の船舶よ、エンジンを始動せよ、石油の供給だ!」と、いつものトランプ流儀で付け加えた。結果はすぐに現れた。石油の価格は下落し、株価は上昇した。 しかし、何より重要なのは、イランの核兵器保有は永久に交渉対象にはならないという実際の枠組みが初めて存在する点だろう。 現在はまだ覚書の形でまとめられており、米・イランの停戦を60日間延長し、その間に両国が包括的な恒久的合意を目指す。合意の正式調印は19日にスイス・ジュネーブで予定されていたが、延期された。 イランのガリババディ外務次官は、軍事作戦を14日から停止したことを確認し、同時に(1)米が合意に違反すれば、イランも対抗措置を取る(2)交渉の次の局面はイランの凍結資産の扱い次第――などの姿勢を明確にした。 はっきり言って、イランは今回の合意の限度を試そうとしている。それ


時の焦点<国内> 島嶼国海洋会議
温暖化の危機を発信 島国を巡る海洋問題を議論する世界島嶼国海洋会議が、東京都内で2日間開かれた。海洋の保全活動などを行ってきた日本財団が、外務省とユネスコ政府間海洋学委員会の協力を得て開催した。 太平洋やカリブ海、インド洋など35カ国の首脳や閣僚に加え、国際機関の関係者など約300人が出席した。会議では、気候変動や海洋汚染に関する新たな研究組織を東京に設置することを決めた。 研究組織は、島嶼国が受けている環境被害のデータを収集、分析し、今秋、トルコで開かれる国連の気候変動枠組み条約第31回締約国会議(COP31)に提供して具体的な対策を促すという。 小規模な島嶼国は、地球温暖化の影響を強く受けている。南太平洋のツバルやキリバスは、海面の上昇に見舞われて国土が水没の危機に瀕(ひん)している。西太平洋のパラオは、海面上昇のほか台風や高潮といった甚大な自然災害に見舞われている。 今回の会議の共同議長を務めたパラオのスランゲル・ウィップス大統領は「過去10年にわたりサンゴ礁の魚の個体数は減少を続けている。私たちの食料安全保障、経済安全保障を脅かしている」


時の焦点<海外> 建国250年の米
余裕なくした超大国 G7サミット(主要7カ国首脳会議)開幕前日の6月14日、トランプ米大統領は80歳の誕生日を迎えた。昨年、就任時では史上最高齢の大統領として表舞台に戻ったトランプ氏の下で、米国はまもなく7月4日の建国250年を迎える。 イラン戦争の重荷、激しい党派対立、国民の政治不信。分断された米国社会にとって、一体感を取り戻せるかどうかが問われる日である。 同じような状況にあったのが、50年前の建国200年記念日だ。 1976年、独立宣言が採択されたペンシルベニア州フィラデルフィアで演説した当時のフォード大統領は、ワシントンやジェファーソン、リンカーンら歴代大統領が米国社会の融和にいかに腐心したかをたたえ、「独立宣言」「合衆国憲法」という言葉を10回以上使って、自由・平等・独立を旗印に専制政治と決別した誇るべき移民の国の歴史を強調した。 国民は、その15年前に史上もっとも若い43歳で大統領になったケネディ時代に想いをはせていただろう。就任演説で、ケネディは「団結していれば、私たちがともに取り組む多くの事業において、なしえないことはほとんどあり


時の焦点<国内> 中国の海洋進出
西太平洋の守り堅めよ 中国が西太平洋で軍事行動を活発化させている。放置していたら、日本の領土・領海や国益を奪われかねない。自衛隊の拠点である硫黄島を中心に、防衛体制を強化することが急務だ。 防衛省によると、中国海軍の空母「遼寧」が沖ノ鳥島の南西海域で、戦闘機やヘリコプターを発着艦させるなど軍事訓練を行ったという。ミサイル駆逐艦やフリゲートも、遼寧と行動を共にしたという。ミサイル駆逐艦は、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過していたことも分かった。 軍事訓練は公海上で行われた。また、宮古海峡は、艦艇が自由に通航できる海域だ。今回の中国軍の訓練は、国際法上、問題があるとは言えない。 だが、中国の空母はここ数年、西太平洋での訓練を繰り返している。昨年5月末から6月にかけては、空母2隻が初めて太平洋に同時に展開し、艦載機の発着艦訓練を約1千回行った。昨年12月には、艦載機が自衛隊機に対して、攻撃を意図するレーダー照射した。 中国が西太平洋を自らの管理下に置こうとしているのは明らかだ。 一方、西太平洋は、日本の経済安全保障にとって重要な海域である。...


時の焦点<海外> イランの攻撃
つじつまが合わない戦術 米・イランの和平交渉が膠着状態にある中、イランは各地で攻撃を激化させている。大きな見せ場を狙うかのようなイランと比べ、米国は成果を上げている観がある。 英ロイター通信は6月3日、カイロとワシントン発で、「米とイラン、新たな攻撃の応酬――交渉は行き詰まり」と簡潔に伝えた。 「米中央軍の発表によると、イラン軍は2日夜、クウェートに向け2発のミサイルを発射したが、目標に届かなかったか、もしくは空中で分解した。域内の別の標的への複数の弾道ミサイル攻撃も失敗した。バーレーンに発射された3発のミサイルは米軍とバーレーン軍に迎撃された。2月に米・イスラエルとイランの戦争が始まって以来、イランは米軍基地のあるバーレーンとクウェート内の標的を再三攻撃してきた」 「中央軍によると、米軍は域内海域で民間船舶を狙ったイランのドローンを撃墜した。また、ホルムズ海峡近くのケシム島にあるイラン軍地上管制基地も攻撃した」 「国営イラン通信(IRNA)が伝えたイスラム革命防衛隊(IRGC)の声明は、ケシム島に対する攻撃への報復として、IRGCはバーレーンに


時の焦点<国内> 国家情報会議
体制整え危機の芽摘め 外国勢力による偽情報の拡散や影響工作、先端技術の窃取といった事例は後を絶たない。 情報収集の司令塔として新設される組織は、脅威の兆候を把握し、危機を未然に防ぐよう努めねばならない。政府のインテリジェンス(情報収集、分析)に関わる司令塔を創設するための国家情報会議設置法が成立した。 新たな会議は、首相を議長に外相、防衛相、国家公安委員長ら関係閣僚で構成する。現在の内閣情報調査室を国家情報局に改組し、会議の事務局とする。 国家情報局には、外交・安全保障政策の判断のための重要情報を各省庁から収集する権限を持たせる。情報局は7月に設置される見通しだ。収集する情報は、サイバー攻撃やテロといった直接的な脅威に限らない。外国勢力による影響工作も対象になる。 高市早苗首相は設置法の審議で、外国のものと疑われる不審アカウントが、2月の衆院選で不審な内容を投稿していたと明らかにした。新設する会議で、手口や実態を解明する考えも示した。選挙介入の疑いのある不自然な投稿の拡散は、昨年の参院選でも確認されている。政府に批判的な投稿に大量の「いいね」が押


時の焦点<海外> 東アジア安保
地殻変動の音がする 5月14、15日に北京で行われたトランプ米大統領と習近平・中国国家主席の会談は、米国が台湾問題を中国との外交交渉カードにする姿勢を隠そうともしなくなった意味で、東アジア安保の歴史的な転換点として記憶されることだろう。 首脳会談で最も耳目をひいたのは、習氏が台湾問題で「処理を誤れば両国は対立・衝突し、危険な状況に陥る」とトランプ氏に露骨に警告したことだった。ある外交関係者は「通常の首脳会談では考えられない脅しだ」と驚きを隠さない。 会談で中国側は、500機との事前報道もあったボーイング社の航空機受注を200機に抑え、レアアース輸出規制も米国の懸念に「対処する」との抽象的な表現にとどめた。トランプ氏が習氏を9月24日にワシントンに招待すると発表したことにも、中国側は受諾を即答しなかった。 中国は中間選挙前の習氏招請を是が非でも成功させたいトランプ氏の心理を見透かし、経済での譲歩と引き換えに、台湾問題で米側から一層の妥協を引き出す取引を目論んでいるはずだ。 「外交は大きなディール」と考えるトランプ氏が、こうした誘惑に乗る懸念は消えな


時の焦点<国内> 日韓首脳会談
ホルムズ海峡が封鎖され、日韓両国とも原油などエネルギーの確保が喫緊の課題となっている。イランを攻撃した米国が、在日・在韓米軍の一部戦力を中東に移したことで、力の空白がアジアに生まれかねないことも懸念材料だ。日韓両政府は、首脳間の頻繁な往来を具体的な協力につなげていくべきだ。 高市早苗首相が韓国南東部の安東(アンドン)を訪れ、李(イ)在(ジェ)明(ミョン)大統領と会談。日韓首脳会談は1月、首相の地元奈良で行われた。今回の開催地の安東は、李氏の故郷である。両首脳が短期間で互いの故郷を訪問したことは、日韓のシャトル外交が定着しつつあることを示す。 首脳会談では、イラン情勢への対応が主な議題となった。会談後に発表された、日韓両国のエネルギー安全保障を強化するための共同文書には、どちらか一方の国で原油や石油製品が不足した際、相互に融通することを検討するため、官民対話を進める方針が盛り込まれた。供給が滞った時に備え、平時から協議しておく意義は大きい。 高市首相は先月、アジア全体でエネルギーを確保するための枠組み「パワー・アジア」を設けると表明。具体的には、主


時の焦点<海外> トランプ訪中
米国依存狙う石油外交 トランプ米大統領が5月13日から3日間、中国を訪問。習近平国家主席との首脳会談が行われた14日、FOXニュースは「中国はアラスカを調査しようと努めている」と報じた。イラン情勢、台湾問題への関心が突出する中、不安定な湾岸地域への石油依存を減らそうとする中国の内情に関する視点は興味深い。 中国はイランの原油輸出の約90%を消費し、石油全体の約50%が中東地域からの輸入だが、そのうち約90%がホルムズ海峡を通過する。今後数十年間に中東のどこかで戦争が起きたらどうなるか。 石油依存国家の中国は消費の70%以上を外国からの輸入に頼り、世界最大の石油輸入国だ。生存のためには化石燃料が必要で、電力の58%が石炭に依存している。中国は脆弱性を抱えており、トランプ氏は政権1期目から、その脆弱性に着目し、利用した。 米CNBCテレビは「米石油の対中輸出が急増、世界のオイル・ゲームが変貌」(2018年2月)と伝えた。「米国の中国向け石油の出荷が急増し、16年までは存在しなかった米中間の貿易が創出された。巨大な対中貿易赤字の削減に貢献している。米原


時の焦点<国外> イランの核
戦争は外交に勝るか 米国とイスラエルによるイラン攻撃が始まってまもなく3カ月。この戦争は何のための戦争なのか。世界は今なお当惑と不安の中にいる。 有名なクラウゼヴィッツの「戦争とは他の手段をもってする政治の延長である」という定義に従うなら、外交で達成し得ない政治的成果を軍事力で達成できたのか否かが厳しく問われるはずだ。 トランプ米大統領は訪中に先立つ5月12日、「イランに核兵器を持たせないこと、それが全てだ」と強調したが、クラウゼヴィッツ流に言えば、イランの核保有断念を外交ではなく戦争で実現することが攻撃を始めた目的、ということになる。 イランの核問題は、オバマ米政権当時の2015年にイランが米中露英仏独と欧州連合(EU)の間に締結した合意で、いったん外交解決が図られた。 イランがウラン濃縮度を3.67%以下かつ濃縮期間を15年間に制限する代わり、国際社会が経済制裁を解除するというものだった。 ところがトランプ氏が1期目の18年に「最悪の合意だ」として一方的に離脱。これに反発したイランがウラン濃縮度を高めていった経緯が、今回のイラン攻撃の伏線にあ
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