時の焦点<国内> G7外相会合
- 4月2日
- 読了時間: 3分
更新日:5月13日

役割は依然重い
戦後の国際秩序を主導してきた主要7カ国(G7)の姿は変わりつつある。米国は国際法違反の可能性が高いイラン攻撃に踏み切り、フランスは核軍縮に取り組む義務を放棄するかのような戦略を打ち出した。
世界の6割を占めていたG7全体の国内総生産(GDP)は4割にまで減った。とはいえ、G7が国際平和に負う役割は依然として重い。
アジア唯一のメンバーである日本には、G7の場を通じて法の支配の重要性を訴えつつ、国際世論にも賛同を広げていく役割が求められている。G7の外相会合が議長国のフランスで開かれた。イラン情勢に関する共同声明では、民間人や民間施設に対する「攻撃の即時停止」を求めた。
また、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡について、航行の自由を恒久的に回復する必要性を確認した。イランは石油の重要な輸送ルートであるホルムズ海峡を封鎖し、ペルシャ湾岸の国のエネルギー関連施設も攻撃した。
原油価格を高騰させて米国に攻撃をやめさせる狙いがあるのだろうが、世界経済を混乱させるだけの行為だ。イランの攻撃を受ける湾岸諸国の国々からは、イランの行動に理解を示す声は上がっていない。イランは、無謀な行為が地域での自らの孤立を深める結果となることを自覚するべきだろう。
原油不足の影響は先進国以外にも広がっている。フィリピンは大統領令で非常事態を宣言し、スリランカでは政府機関が週休3日制を導入した。アジア経済の冷え込みは、輸出額の減少などのマイナスとなって日本経済にも跳ね返ってくる。
高市早苗首相が、フィリピンやマーシャル諸島、マレーシアの首脳と相次いで電話会談し、イラン情勢の早期収束に向けての協力を確認したのも、こうした懸念によるものだろう。
日本は原油高に苦しむ各国の状況を今後もG7の場で説明し、事態の沈静化を促していく必要がある。
外相会合ではまた、ロシアの侵略を受けるウクライナへの連帯を確認した。米国は、イランの攻撃を受ける湾岸の親米諸国に迎撃ミサイルなどを提供しており、ウクライナへの供給が停滞する恐れがある。
ウクライナは連日、ロシアの攻撃を受け、電力不足が深刻化している。G7が中心となってウクライナの防空能力の低下を防がねばならない。
日本は北大西洋条約機構(NATO)が米国製兵器を購入してウクライナに供与する枠組みに、近く参加する方針だ。
日本自身も防弾チョッキや防護マスクなど非武器を中心に提供してきた。できる限りの支援を続けたい。
茂木敏充外相は、悪化した日中関係について日本の立場を表明し、北朝鮮の完全非核化の重要性に言及した。重要鉱物を含めたサプライチェーン(供給網)強化へ連携する方針を確認したほか、「自由で開かれたインド太平洋」を進化させる必要性を訴えた。
霜月荘六(政治評論家)
(2026年4月2日付『朝雲』より)






