時の焦点<国内> 北方領土訪問
- 1 日前
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露大統領の暴挙だ
ロシアのプーチン大統領が8月13日、北方領土の択捉島を訪問した。日露関係を決定的に悪化させる暴挙と言える。日本政府は揺さぶりに動じず、毅然(きぜん)と対処すべきだ。
ロシアの国家元首では、2010年に当時のメドベージェフ大統領が国後島を訪れたことがある。2000年から実権を握るプーチン氏の北方領土訪問は今回が初めてだ。
2022年からウクライナを侵略するロシアに対し、日米欧は、ロシア要人に対する資産凍結などの経済制裁を続けている。苦境に陥ったロシアは、中国へのエネルギー輸出を拡大するなど、中国との経済的関係の強化に動いた。
プーチン氏が択捉島を訪問したのは、高市政権の外交安全保障政策を「新型軍国主義」と呼んで批判を強めている中国と、歩調を合わせる狙いがあったのではないか。
プーチン氏は択捉島を訪問する前日、サハリン州で露軍関係者と会談した際、北方領土は第2次世界大戦の結果、ロシア領になったと述べたという。日露平和条約交渉については、「安倍元首相を含む日本の指導者と建設的な関係を築いていたが、現在、日本側の立場が変化している」と語ったとされる。
プーチン氏の主張はいずれも的外れだ。
北方領土は歴史的にも、国際法上も日本固有の領土である。ロシアの前身のソ連は終戦時、一方的に日ソ中立条約を破り、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の北方4島に侵攻した。依然として続くロシアによる不法占拠は看過できない。
また、平和条約交渉が中断したのは、ロシアによるウクライナ侵略がきっかけだ。日露関係悪化の原因を作ったのがロシア側であることは明白である。
高市首相が「断じて容認できない」と非難したのは当然だ。
ロシアは、4年以上にわたってウクライナの領土を攻撃し、占領しようとしている。日本政府は、終戦時にも非道な侵略が日本で起きていた事実を、国際社会に強く発信していく必要がある。
中東情勢の悪化を受け、日本は最近、エネルギーの調達先を多角化する観点から、ロシアとの意思疎通を強めようとしていた。
5月には外務省と経済産業省の幹部らが訪露して露政府関係者に面会した。日本の商社が権益を持つ、露の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で産出される液化天然ガス(LNG)や石油の輸入を増やす狙いがあったとされる。
7月には茂木敏充外相がフィリピンでラブロフ露外相と接触した。
ロシアと意思疎通を図ることは否定しないが、安易に事業に協力すれば、ウクライナ侵略のための戦費調達を日本が後押しすることにもなりかねない。日米欧の制裁の足並みが乱れれば、ロシアの思うつぼだろう。
夏川明雄(政治評論家)






