朝雲寸言 (2026年9月17日付)
9月16日
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大阪中之島美術館で今、オランダの画家ヨハネス・フェルメール(1632~75)の展覧会が開かれている。目玉は、日本では14年ぶりの「真珠の耳飾りの少女」だ。青いターバンを巻き、口元にほっと吐息のようなものを感じさせる名品。「北のモナ・リザ」などとも称賛されている。
フェルメールはバロック期の画家である。バロックの語源はポルトガル語で、意味は「歪んだ真珠」。西洋絵画史ではルネサンス、マニエリスムを経て、バロックが到来する。主な美の特質上、ルネサンスは均整美、マニエリスムはデカダンス美、バロックは動的瞬間の美とも言えよう。
絵の見方は千差万別だ。彼を「静謐(せいひつ)」な画家とみる専門家の解釈に頼るもよし、自分の思うままに感じ取るもよしである。
筆者はこの絵の魅力は、単なる少女の静謐さではなく、少女の動的姿態を描きとどめた点にあると思っている。バロックの、時に歪みをもたらす動的瞬間の美こそ核心なのだ。
彼の他の作品には、部屋のカーテンをさっと開けた瞬間に見えた、行動に集中する人物を描いたものも目立つ。この少女も肩をたたかれ、振り向いた瞬間の動的な姿態のように見える。わずかに開いた口元は小さな驚きゆえなのである。
災害続きの昨今、絵画鑑賞どころではないという声も聞こえてきそうだ。ただ、次期来日はかなり先のような気もする。
ちなみに耳飾りは、バロックパール特有の歪んだ形をしている。
(2026年9月17日付『朝雲』より)






