朝雲寸言 (2026年10月22日付)
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ショパン、シューマン、リスト……。筆者はピアノ曲の大の愛好家である。そんな人々を驚かすニュースがあった。
ショパン国際ピアノコンクールで第2位受賞という輝かしい記録を持つ日本人ピアニストSが、スピード違反で在宅起訴された事件である。制限時速60キロの首都高速道路を時速144キロで走った。今月6日、東京地裁で初公判が開かれ、即日結審した。
渋滞でもない高速道路を制限速度60キロで走るドライバーはめったに見られまい。非現実的な規制だが、まずは悪法も法だろう。超過は84キロ。これは弁解しづらい。出し過ぎだ。
ただ、注目したいのはSの言動である。違反は昨年12月というから10カ月近く伏せられていた。だんまりを決め込んでいたずる賢さはあるが、初公判で世間に知れ渡ると3日後、Sは事務所のサイトで謝罪し、年内公演の収益を公益的団体へ寄付すると発表した。遁辞(とんじ)を弄(ろう)してごまかしたり、安全な地位に恋々としてノーコメント一点張りで流したりはしなかった。社会を納得させる言動で、一定のカタルシスの風が吹いたのではなかろうか。
有名人、もしくは社会的影響力のある存在は当然だが、注目を浴び、一挙手一投足が社会に潜む多くの人々の感情に影響するものだ。
失策後の対応をめぐり、社会が納得する際のキーワードは「潔さ」である。「潔さ」の欠如がどれほどの醜態をさらすか、我々はいやというほど知っている。







