朝雲寸言(2026年9月10日付)
9月9日
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実際の部隊や装備を動かさずに指揮官や幕僚が地図やコンピューターを使って作戦計画の策定や部隊の指揮・調整手順を訓練する演習を指揮所演習という。
この演習は不測事態における司令部の幕僚組織を鍛えることも目的のひとつであり、そのため各幕僚は不眠不休の活動を強いられることが多い。
近年この指揮所活動の多くの分野が情報通信技術によってシステム化され迅速化・効率化されるようになった。デジタル化された地図とソフトウエア上で部隊が作戦を遂行し、その行動の可否はコンピューターが判断する。その過程に人間の意志は介在しない。
さらに司令部活動がAIによって大きく変わりつつある。防衛省は偵察衛星やドローンなどから得られる膨大な情報データを統合分析し戦況の分析や目標の選定・標定を自動化して作戦の立案や作戦指導において指揮官の判断を支援するAI導入の検討を開始した。
ドローンが戦場を支配する時代はすでに始まっている。近い将来、AIが作戦自体を指揮する時代が来るだろう。不眠不休の幕僚活動は過去のものとなりそうだ。
時代とともに戦争は変化する。しかし武器がどれほど発達しようとこれまでの戦争の中心にあったのは人間の判断であった。その中心がAIに置き換わったとき戦争の歴史は変わるかもしれない。ただし現状を見る限り世界から戦争がなくなる気配はなさそうである。
(2026年9月10日付『朝雲』より)






