時の焦点<国内> 外国干渉の防止

影響工作を透明化
外国の情報機関による活動は、機密情報の窃取から政策決定への介入や世論操作などに拡大し、活発化している。こうした活動に対処するための法制度を整備して、国民の安全を守る対策を急がねばならない。
政府が、外国政府の代理人による影響工作を規制する「外国干渉防止法案」(仮称)を、来年の通常国会に提出する方向で検討に入った。
インテリジェンス機能のあり方を検討する有識者会議で、警察庁から論点が示された。政府はこれまで、外国による機密情報の窃取に対抗するため、特定秘密保護法や不正競争防止法などを整備してきた。
その一方、政治や行政への介入、世論の誘導などを規制する仕組みは手つかずだった。意図や背景が隠されたまま影響力が行使されれば、国民の意識しないうちに、外国の望む行動や判断に傾く恐れがある。政府は対応を急がねばならない。
偽情報の拡散は、日本でもたびたび確認されている。2月の衆院選では中国による認知戦が行われた可能性があると判明した。不審アカウントからの投稿は、政府も一定数把握している。こうした工作に対抗するため、新たな法律では、外国代理人の登録を義務づける見通しだ。
政治コンサルタントや広告会社、ロビー会社などが、代理人であることを隠して公務員への接触や情報の発信などを行った場合、罰則を科すことを想定している。
不当な干渉への抑止効果が、一定程度期待できるのではないか。欧米では、中国による工作活動が頻発している。
英国では9月、研究者100人以上が、中国の学術機関から資金提供を受け、人工知能(AI)などの研究成果を流出させていたことが分かった。
対抗策の一環として、代理人の登録制度を新設する国が相次いでいる。1938年に外国代理人登録法を制定した米国に加え、英国、フランスで2025年に、カナダでも26年に登録制度の運用を開始した。政府は、各国の法律の施行実績も参考に、制度設計を図っていくことが不可欠だ。
外国代理人の活動は自国の利益を図ることが目的だが、一方で、外交や投資、地域の問題に関する啓発活動など、日本社会にとって有益なものも多い。
新たな法律がこうした活動を萎縮させることがないよう、登録制度の趣旨を国民に丁寧に説明していく必要がある。
有識者会議では、外国代理人に国内の報道機関を含めるかについても議論する。米英両国は一定の要件を満たす報道機関を除外しているが、登録を義務づける国もある。報道の自由を担保する制度設計は欠かせない。
新たな法律では、外国勢力の利益を目的とした暴行や脅迫などの不法行為に、より重い罰を科すことも検討する。
霜月荘六(政治評論家)







