時の焦点<国内> 高市改造内閣

有識者会議の議論始まる
インテリジェンス(情報活動)機能のあり方を検討する政府の有識者会議が初会合を開いた。高市早苗首相は「我が国でも外国の情報機関員が関わる先端技術の不正流出、官民の重要情報を狙ったサイバー攻撃、偽情報の拡散といった脅威が高まっている。国民の安全や国益を守り抜くためには、情報力強化が不可欠だ」と述べた。
インテリジェンスの司令塔となる国家情報会議と事務局の国家情報局は7月に発足した。有識者会議は、情報活動の指針となる国家情報戦略の内容について議論する。
戦略では、外国勢力による不当な干渉などに直面する中での情報活動の意義や重要性をはじめ、情報部門と政策部門の連携強化、情報活動を担う人材の育成方針、人工知能(AI)に代表される先端技術の活用など、中長期的に進める方策を盛り込む。
専門知識を持つ有識者会議の意見を取り入れながら、中長期の視点も含めた実効性のある戦略とせねばならない。
先の国会で成立した国家情報会議設置法を巡る審議では、政府の情報収集力の強化に対し、プライバシーが脅かされないか、政治的中立や民主的統制が確保されるのかなどの懸念が示された。
政府は新たな戦略を丁寧に説明することで、こうした不安を解消していくことが重要だ。
有識者会議は、外国勢力による不当な干渉を防止するための法制度についても検討する。具体的には、外国の情報機関から金銭を受け取る行為や、機密情報、先端技術などを流出させる行為に罰則を科す。
2月の衆院選では、外国のものと疑われるアカウントが、不審な内容を投稿していた。ロシアや中国のスパイが、企業や研究機関を標的に機密情報を持ち出すケースも、後を絶たない。
流出するのが防衛関係企業の情報でなくとも、軍事転用されれば日本の安全保障に重大な脅威をもたらしかねない。
外国の利益になることを隠して政治家らに近づき、政策に影響を与えるロビー活動を透明化するため、登録を義務づける制度も焦点となる。
外国の政府や政党、法人などの指示を受ける代理人の個人情報や活動内容などを公表する。
こうした制度は、かつて米国に実施例がある程度だった。それが、ここ数年で豪州や英国、フランスに広がった。欧州ではここ2年ほどで、中国やロシアの関与が指摘されるスパイ事件が20件以上確認されたためだ。
登録の義務化は、外国人による日本国内でのスパイ活動に対抗する狙いがあるのだろう。
ただ、外国代理人の登録制度が、日本国内での正当な研究活動や報道の自由を制限する恐れもある。ロシアでは、国内外を問わず報道機関が「外国の代理人」に指定されている。
自由や人権とのバランスを考え、制度設計を進めていくことが求められている。
霜月荘六(政治評論家)






