時の焦点<海外> トランプ演説

「邪悪な体制」は決断を
トランプ米大統領は9月22日、国連総会で演説した。率直かつ単刀直入ないつもの“トランプ流”で、特に対イラン関係では、決定を遅らせる時は終わったとし、同国に厳しい選択を突き付けた。
今回の対イラン戦争に関しては、左派勢力および声高な素人集団から「不必要な戦争」との批判がある。
これに対し、トランプ氏は「想像してみるといい。邪悪な体制が核の盾の背後で大規模なテロ攻撃を実施する力を得ている。我々が対決しなければならないリアリティーはこれだ。あまりにも多くの人が無視することを好んだリアリティーだ。多くの大統領が無視したがり、この問題で何かするのをためらった。しかし、彼らは問題の存在を知っていた」
知っていたのに何もしなかった。議会内で響き渡る「米国に死を!」のシュプレヒコールも、いずれ消えてなくなるだろうと期待した。
しかし、実態はもっと悪かった。オバマ政権はイランに数十億ドルもの金を極秘に送った。しかも、出どころを明かさないように「現金」で、また目立たないように深夜の航空機で送った。その後、一般市民の生活が楽になったという話は聞かない。イスラエルや自由世界に対する聖戦の資金に回ったのだろう。
イランは、大悪魔(米国)に対して大きな勝利をあげているとの主張を崩さない。
しかし、トランプは演説で詳細を挙げて反論した。
「『エピック・ヒューリー』作戦の結果、イラン海軍の艦船159隻すべてが海底で眠っている。同様に、空軍もなくなった。レーダーは粉砕され、対空用の装備もなくなった。ミサイルやドローンの製造施設もほぼなくなった。経済も壊滅状態で、唯一残っているのがインフレ。インフレ率は300%以上だ」
トランプ氏はまた、「停戦合意が成ったのに、イランは第三国の民間船舶を攻撃した」と批判した後、「国連安保理がイランの攻撃を非難する決議を圧倒的賛成多数で可決したことに感謝する。本当にありがとう。決議の共同提案国に安保理決議史上最多の国が名を連ねた。たいしたものだ」
国連の執拗な反米主義を思えば、トランプ氏の口調も確かに『たいしたもの』だし、日頃CNNテレビあたりが伝えるトランプ像とは違って、「度量の大きさ」も示したようだ。
トランプ演説は続いた。
「我々は同時に、イランへの圧力維持で団結しなければならない。米海軍は最近、10億バレル以上の原油がホルムズ海峡から出るのをエスコートした。一日に22隻、25隻、30隻、32隻、37隻をエスコートした。しかし私は重大な決断をしなければならない」
トランプ氏によれば、「取引が成立して、イランはより偉大な国になるのか。それとも私はイスラム共和国を全滅させるのか」。決断はイラン指導者の手中にあるということだ。
草野徹(外交評論家)






