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<春夏秋冬> 「防衛産業戦略」 鈴木敦夫

2 時間前
読了時間: 2分

防衛省の2027年度予算案の概算要求は、「安保3文書」の改定も予定され、多くの新規事項を含み質的にもボリューム感のあるものとなっている。その中には「生産力こそ抑止力」と称して、防衛生産・技術基盤強化のための各種事業が盛り込まれている。


この動きは国際的でもある。冷戦後、世界の軍事費は「平和の配当」として減少し、主要国の防衛産業も整理統合され、生産基盤は縮小した。世界はグローバル化へと大きく動き出した。国境を越えてヒト・モノ・カネ・情報が自由に移動し、経済成長など多くのメリットをもたらした。


他方で経済相互依存が深まりサプライチェーン(供給網)は複雑化し、いま振り返れば「経済の武器化」につながる要因ともなった。


防衛生産・技術基盤も無縁ではない。さらにかつてはGPS(全地球測位システム)など軍事技術が民生用にスピンオフしていたが、今や逆方向のスピンオンが重要になっている。


安全保障環境に目を転じれば、米国を中心とした協調的関与の時代から大国間競争の時代へと大きく変化した。22年のウクライナ侵略を一つの契機として、主要各国が防衛費を増加させた。武器に対する需要の急増にもかかわらず、供給サイドが追いつかない。


市場任せではなく政府が指導的役割を果たさなければ、防衛生産基盤強化は実現できない。近年、主要国が防衛産業戦略を公表し、我が国でも同様の背景があると思っている。


私は21年7月に防衛装備庁長官に就いたが、当時は防衛産業の撤退がいまだ止まらなかった。この状況を変えるためにはどうすべきかを考えるにあたり示唆を与えてくれたのが、同年3月に発表された英国の防衛産業戦略であった。英国は時代を先取りする構想を打ち出すのが上手である。


その中で「グローバルな競争がデフォルトという従来の調達原則の見直し」を提唱し、国内産業基盤を重視していく明確な方向転換が示されていた。従来であれば、国際競争も、国内基盤も重要、いずれにせよケースバイケースの適切な判断で、というのが共通認識だった。


その後、国内基盤強化のためさまざまな施策を実現してきたが、主要各国も同様に強化策を推進している。我が国が防衛力強化を実現すると同時に十分な防衛生産・技術基盤を維持し続けるためにはさらなる取り組みも必要であろう。新3文書での大いなる飛躍が楽しみである。


(元防衛事務次官)


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