<春夏秋冬> 「デジャブ」となるイラク戦争 前嶋和弘
- 11 時間前
- 読了時間: 2分

2003年以降、一時撤退の数年をはさみ、イラクに駐留してきた米国軍がこの9月末で完全撤退を決めました。ピーク時の07年には17万人が駐留。米軍にとっては歴史的な節目となります。完全撤退は、バイデン政権末期の24年9月に決まっていました。「ようやく」という感じです。
イラク戦争とその後の駐留とは米国にとって、何だったのでしょうか。フセイン政権が持つ大量破壊兵器を排除することが戦争の大義でしたが、発見されていません。国連安保理でのパウエル国務長官の「スラムダンク(決定的証拠)だ!」という大量破壊兵器工場の写真は、過剰な言葉とは裏腹に何だかわからない施設の像でした。
このパウエルと同じような、いやそれ以上に過剰で稚拙な説明を今回のイラン攻撃ではトランプ政権が繰り返しています。「反撃能力はほとんどない」「イランを石器時代に戻す」「最後通告だ」と威勢は良いが空虚な言葉がトランプ大統領からは続いています。
イラン攻撃の大義は核兵器開発の阻止のはずですが、攻撃を決めた際のイラン側の核濃縮の状況は「すぐにもイスラエルを攻撃可能」とするネタニヤフ首相からの情報だったといわれています。米国の諜報機関が集めていた情報では、核濃縮段階は緊急対応が必要では到底なかったと報じられています。このイランへの攻撃が終わった際には、「イラク戦争と同じように、イラン攻撃も戦争の大義がなかった」と非難されるのかと思います。
16年の選挙戦で、イラク戦争を引き起こしたブッシュ政権を徹底的に非難し、共和党内で台頭したのがトランプでした。そのトランプが、イラク戦争と同様の大義なき戦いを仕掛けているのは、何ともいえない皮肉です。
今回のイランでの戦闘は6カ月以上と長期化しているため、「空母の中の衛生状態が悪化し、極度の疲弊もあり、自殺願望の兵士も増えている」という報道も目立っています。
現在、在イラク米軍はイランの反撃の頻繁なターゲットになっているため、イラク撤退は米兵の犠牲を減らす一策でもあります。
イラクとイラン、いろいろなところでつながっています。
(上智大学総合グローバル学部教授)







