<春夏秋冬> スペインとパレスチナ 酒井啓子
- 10 時間前
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ワールドカップが終了して3週間。その熱狂も静まりつつあるが、スペインの優勝には中東、イスラム諸国が熱狂した。
中世スペインがイスラム王朝のもとで栄え、アンダルシアに数多くのイスラム遺跡が残されていることは、よく知られている。
また、スペイン・チームの神童と言われ、優勝の立役者であるヤマル選手は、父方がモロッコ系で本人もイスラム教徒であることも、人気の理由のひとつだ。ラミン・ヤマルという名前は、アルアミーン・ジャマルというアラビア語名が語源である。
それだけではない。彼はしばしばパレスチナ国旗を手にしている姿が報じられており、同じムスリム、アラブ系としてパレスチナへの連帯を隠さない。その姿を見たイスラエル占領下のパレスチナ人は大喜び。ヨルダン川西岸に張り巡らされたイスラエルによる分離壁には、パレスチナ旗を掲げたヤマルの巨大な壁画があちこちに描かれた。
瓦礫のなかでもガザの人々は空き地に集まり、決勝戦にくぎ付けだった。アルゼンチンとエジプトの試合でも、ガザの屋外でテレビ放映され、敗退したエジプト・チームの監督がパレスチナ国旗を振ると歓喜の声が上がった。
ところで、スペインがパレスチナやアラブの人々から支持されるのにはさらに理由がある。2024年5月、スペインはノルウェー、アイルランドとともに、他の西欧諸国に先駆けてパレスチナの国家承認を行った。その直前に国連総会が、パレスチナの国連加盟を承認する決議を行ったことに呼応した動きである。
イスラエルの行動をジェノサイド(集団殺害)とする国際司法裁判所での訴訟に加わるなど、はっきりとパレスチナ支持の姿勢をとるスペインは、その後、対イスラエル武器禁輸を決定したり、国際スポーツ大会でのイスラエルの出場禁止を主張したりと、欧米諸国のなかではイスラエル批判の急先鋒だ。
今年7月初めには、医療支援が必要なパレスチナ人の子ども20人とその家族を、ガザから受け入れた。
スペイン・チームでは、アフリカからの難民出身の選手も活躍した。将来、ガザ出身のパレスチナ人の子どもが、スペインでワールドカップ代表として活躍する日が来るかもしれない。
(千葉大学特任教授)








