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<春夏秋冬> 韓国人の矜持としての サッカーW杯 平岩俊司

7月15日
読了時間: 2分

朝から晩までサッカーである。世界中がワールドカップに熱狂しているのだろう。私のような関心のない人間でさえ、白熱したゴールシーンに思わず声が出る。そんな魅力がサッカーにはある。だからナショナリズムを刺激し、時に過度な反応が出てしまう。大統領が代表監督を批判し、サッカー協会会長と監督の国会公聴会まで行われる韓国がまさにそうだ。


韓国人の誇りは2002年ワールドカップでベスト4となったことだ。意外かも知れないが、それまでアジア最高位は北朝鮮だった。参加国数も制度も違うが、1966年のロンドン大会で北朝鮮はベスト8となり、奇跡と称された。


だからこそ韓国は北朝鮮を超えたかったはずだ。それが2002年のベスト4だ。友人の何人かが「北朝鮮を超えた」と興奮していた。すべての韓国人がそれを意識したとは思わないが、多くの韓国人にとっては南北関係の文脈でもサッカーは格別なのだろう。


サッカーを通した南北交流もあった。世界的冷戦終結の潮流のなかで、1990年にソウルと平壌でサッカー親善試合が行われた。結果は1勝1敗。そして91年ワールドユース選手権(現U―20W杯)で南北合同チームが結成されベスト8となった。北朝鮮が敵対的二国家論を掲げ、韓国は統一の相手ではない、最大の敵国として対決姿勢を強める今とはまるで異なる。


韓国の予選リーグ最終戦、韓国出張中だったこともあり、少しの間だったがソウル光化門のパブリックビューイングで韓国人サポーターに混じって観戦した。一喜一憂する熱狂的雰囲気の中、最高潮に達するであろうゴールシーンの熱量を味わってみたかったが、友人と会う約束があり最後まで見られなかった。光化門から少し離れたところで会った友人はいつになく不機嫌だった。ワールドカップで南北合同チームはできないのか、と聞いてみた。


1次リーグ敗退決定直後のデリカシーのない質問だったが、「とんでもない」と。既述の91年U―20W杯でも、またサッカー以外でも南北統一チームは結成されるがワールドカップは別らしい。


韓国は統一を放棄していないが、サッカーについては韓国も敵対的二国家論なのかもしれない。やはり韓国にとってサッカーは特別なようだ。


(南山大学総合政策学部教授)

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