世界の新兵器〈611〉 隣で羽ばたく新しい「鷹」 [韓国]

狙いは世界市場?
前2回とも無人機の話題だったので、ここでは戦闘機について書きたい。隣国韓国の新戦闘機KF21「ボラメ」である。2001年の計画発表から25年、正式スタートから10年を経て、今年3月に量産1号機が公開された。機体の外形を見る限り、F22やF35を思わせる最新のステルス戦闘機であるが、開発したKAI(韓国航空宇宙産業)自身が言うように、第4.5世代戦闘機という位置付けである。
諸元は全長16.9メートル、全幅11.2メートルで、最大離陸重量は25.6トン。エンジンはF404-GE-400K(ドライ6.4トン、アフターバーナ10トン)×2を搭載し、米国のF/A18E/Fや欧州のユーロファイター、日本のF2Aと同規模の「中型」4.5世代機として手堅くまとまっている。
第5世代と呼ばない最大の理由はステルス性だ。エッジ・マネジメントが効いた平面形にノーズ・チャインなど随所に5世代機的特徴が見られるが、何と言っても兵器内装となっていない(ブロックⅢ以降の発展型で検討とのこと)、空気取り入れ口もダイバータ付で、レーダー反射を極限まで落とす仕様になっていない。正面反射面積は0.5平方メートルと言われるが、あくまでもF16とF35の中間を狙った機体である。

開発には紆余(うよ)曲折があった。KAIが米ロッキード・マーティン(LM)社と組んで開発した練習機T50と派生戦闘機FA50の成功をバネに、LM社の協力とインドネシアの参加を得てスタートした。しかし、「核心装置」と呼ばれたAESA(アクティブ電子走査アレイ)レーダー、IRST(赤外線探知追尾)装置など4項目の技術提供を米政府に拒否され、自力開発もしくは他国パートナー探しを余儀なくされた。そのため、レーダーはイスラエルと組んでフライング・テストベッドまで使って開発したそうだ。どこかで聞いたようなストーリーだ。
インドネシアも当初開発費の20%を分担する約束だったが、途中ラファールに乗り換える動きを見せたり、減額を要請したりした。結局、製造分担は諦めて完成機輸入となった模様である。ともあれ、今年8月までにブロックⅠ(対空戦闘仕様)の「戦闘用適合性」と「初回型式証明」を取得したので、量産、配備が進むものと考えられる。今さら4.5世代機? と侮ることなかれ。各国で使用されている4世代、4.5世代機は多いが、F35といった高価な5世代機に乗り換えられる国は多くはない。
ステルス性には多少目をつぶっても、新しいミサイルや電子装置を使えるミッドサイズの手頃な機体(スウェーデンのグリペンNGなど)の需要は、韓国自身を含め小さくないのだ。最近武器輸出で成功を収めている韓国の戦略的戦闘機と呼ぶべきであろう。余談ではあるが、韓国名「ボラメ」は若鷹だそうで、昭和世代には若鷹といえば川崎T33練習機だ。向こうの鷹は爪を隠せないようだが、どこまで羽根を伸ばせるか要注目である。
酒田威志(防衛技術協会・客員研究員)








