朝雲寸言(2026年7月9日付)
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「ヤルタからマルタまで」という成句は冷戦の始まりと終わりを表している。ヤルタ会談は1945年2月、マルタ会談は89年12月、冷戦の期間はほぼ半世紀である。
振り返れば米ソが対立していた戦後の半世紀は比較的安定した時代であったと言える。この冷戦間に我が国は戦後復興を成し遂げ世界第2位の経済大国に成長した。世界が混乱していれば我が国の高度成長は違ったものになっていただろう。
明治維新以降、軍拡と領土拡張を通じて世界の列強に肩を並べようとしていた我が国は敗戦後、国家の姿勢を180度変換した。日米同盟の下で平和で豊かな国家を目指したのである。
しかし今、時代は大きく変わった。冷戦という大きな枠組みは崩壊し多様で不安定な対立と混乱の時代に我々は生きている。
それでもいまだに時代の変化を認識しない人々が多くいる。安定した過去に固執し厳しい現実を見ようとせず変化を拒絶する人々がいる。
人の意識が変わることは難しい。企業や組織が衰退する最大の要因は過去の成功に溺れ変化を受け入れ
ようとしない人々がいるからだと言われている。環境の変化に適応するためには世代交代という意識改革が必要なのだ。
冷戦を経験した老兵は静かに消え去るべきなのだと思う。国の防衛はいつの時代も若い世代に託されてきた。時代が変わって組織が変わっても戦士の遺伝子は継承されていくのだから。
(2026年7月9日付『朝雲』より)







