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朝雲寸言(2025年1月9日付)

2025年1月9日
読了時間: 2分

更新日:6月8日


新しい年は「昭和百年」に当たる。百年前の大正14(1925)年は、ドイツで反乱を企てた罪で一時解散に追い込まれていた国民社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)が再結成され、イタリアで国家ファシスト党を率いるムッソリーニ首相が独裁体制を確立するなど、全体主義が勢いを得た年であった。


歴史は必ずしも全てが必然ではなく、さまざまな偶然が重なって形作られる。全体主義台頭の含意を当時の日本人が洞察できていれば、後年、主体性も乏しいまま当時の同盟諸国に盲従する愚行も避けられたかもしれない。百年前のあの年は歴史の分岐点だった。


現在に目を移せば、ロシアはウクライナ侵略を続け、中国共産党政権は周辺諸国を武力で威嚇し続けるなど強権国家の粗暴さが際立つ。「危険が猛スピードで近づいている。戦時思考に切り替えよ」との北大西洋条約機構のルッテ事務総長の警鐘がぐさりとくる。


欧州では防衛費を国内総生産比3パーセントにすべきだとの声も出始めた。一方、わが国では2パーセントにするための財源確保の道も磐石(ばんじゃく)とは言えない。与野党の別なく政治が国民へのバラマキ政策に慣れ過ぎ、国防上の負担の必要性を説得する胆力を持っていないように映る。同盟国との連携に関しても、その裏に主体性の減衰はないか。後世の人々が「2025年は国防上の分岐点だったが、当時の日本人は間違った道を選んだ」と振り返ることのないよう心したい。


(2025年1月9日付『朝雲』より)

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