朝雲寸言(2026年5月7日付)
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まぶしい青葉、道行く半袖姿の人々、入社したての新入社員。街にフレッシュな風が吹いている。だが、足元には不穏な動きも見える。
本人に代わって辞意を伝える「退職代行サービス」である。サービスが入社当日に始動した例もある。中には弁護士法に抵触する「非弁行為」の疑いがもたれる業者もいるという。便利で効率的なサービスの落とし穴だ。
もちろん、心身を病むような職場からは一も二もなく離れる必要がある。辞めさせない企業も厄介だ。サービスが力を発揮する場面かもしれない。
そもそも転職自体に非はない。充実した人生のための転職は、自己決定権の範疇(はんちゅう)にある。より高いポストや収入を求めて古巣から旅立つ層は、むしろ頼もしい。
だが、「思っていた仕事と違った」「なんとなく上司がうざい」という程度の所感からであれば、立ち止まるべきだ。そんな時、代行サービスを使おうものなら、どこかこそこそとした退職にならないか。その後の人生にプラスとは言えまい。
サービス利用で晴れて退職できたとして、次の会社は本当に好きな仕事をさせてくれるのか。結局、何度も利用する羽目にならないか。およそ決然と辞めていく姿には程遠いのである。
安直に転じるのではなく、いったん踏みとどまる。もがく。角度を変えて見る。無批判的な現状追認に流れない範囲で、渦中の仕事に「好き」の種を見出そうとする。これを日本の労働文化の根に据えたいものである。
(2026年5月7日付『朝雲』より)







