時の焦点<海外> トランプ訪中
- 5月27日
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米国依存狙う石油外交
トランプ米大統領が5月13日から3日間、中国を訪問。習近平国家主席との首脳会談が行われた14日、FOXニュースは「中国はアラスカを調査しようと努めている」と報じた。イラン情勢、台湾問題への関心が突出する中、不安定な湾岸地域への石油依存を減らそうとする中国の内情に関する視点は興味深い。
中国はイランの原油輸出の約90%を消費し、石油全体の約50%が中東地域からの輸入だが、そのうち約90%がホルムズ海峡を通過する。今後数十年間に中東のどこかで戦争が起きたらどうなるか。
石油依存国家の中国は消費の70%以上を外国からの輸入に頼り、世界最大の石油輸入国だ。生存のためには化石燃料が必要で、電力の58%が石炭に依存している。中国は脆弱性を抱えており、トランプ氏は政権1期目から、その脆弱性に着目し、利用した。
米CNBCテレビは「米石油の対中輸出が急増、世界のオイル・ゲームが変貌」(2018年2月)と伝えた。「米国の中国向け石油の出荷が急増し、16年までは存在しなかった米中間の貿易が創出された。巨大な対中貿易赤字の削減に貢献している。米原油の対中出荷は、16年以前はゼロだったが、今年1月は日量40万バレル(約10億ドル相当)を記録。また50万トン(約3億ドル相当)の液化天然ガスも1月、中国へ向かった」。しかし、後のバイデン政権の失策で勢いは頓挫した。
ブルームバーグ・ニュースは「米石油の対中輸出が減少、需要縮小・輸入先も変化」(24年12月)と報じた。「原油の対中輸出が今年はほぼ半減。中国の経済情勢が需要に影響し、ロシア、イランなど他国からの輸入が増えた」。
そこにトランプ政権が復帰し、対中石油輸出も戻った。トランプ氏が首脳会談で習主席から引き出した譲歩の一つだ。
ブルームバーグ・ニュースは「習主席は米国からもっと石油を買うという意見が気に入っている―トランプ氏」(26年5月15日)と伝えた。「トランプ氏はFOXニュースとのインタビューでこう語った。これに先立ち、ホワイトハウス当局者は14日、中国はホルムズ海峡への依存を減らすため、米国から原油購入を増やすことに関心があると語っていた」。
今回の首脳会談では、石油、エネルギー、投資などが真剣な議題になった印象がある。
トランプ氏は、中国を米国の石油に依存させるという思いもよらないことをやり遂げようとしており、“地政学上の爆弾”並みの衝撃だ。
米国の原油産出は16年の日量885万2千バレルから、20年には1133万6千バレル、25年には1358万6千バレルへと毎年増加。増加率は国内の消費能力を超え、輸出先の確保が不可欠である。テキサス、ルイジアナ、アラスカなど石油産出州は中東よりはるかに安定しており、中国経済は地政学上の緊張から解放される。
一方、米国は中東の経済不安定を武器に中国を米国産石油に依存させることができる。双方にとってウィンウィンの取引になる。トランプ政権は目下、石油外交を駆使して米中関係を再構築しようとしている。
草野徹(外交評論家)







