時の焦点<海外> 欧州が求愛
- 2月12日
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中国を当てにできるか
トランプ米政権は欧州の自己防衛努力、貿易、関税問題などでは甘言を弄(ろう)しない。その率直さにすっかり気力を失った欧州とカナダは、これにどう対応したか。数カ国の首脳が次々と“北京詣で”である。
中国は覇権国として米国に取って代わりつつあるのか。カナダや英国が中国にすり寄り、他の欧州諸国が引き続き取り入っていく様子は興味深い。
「ニューヨーク・タイムズ」の記事(1月31日)はコンパクトで上手い。
「事前の予測はこうだった。これら諸国は結局、対米防護策を取るために中国との関係緊密化を求める。彼らはその際は中国の利益に一層好意的だろう」
「予測は当たった。欧州とカナダの指導者は世界第2位の経済大国との関係を深めようと、列をなして中国に着いた。中国政府が人権問題、スパイ行為、他国の選挙への干渉、貿易不均衡など、かつて双方の関係を裂いていた問題のほとんどを認めなかったのに」
「今やすべての道は中国に通ず」というのが、1月30日の米CNBCテレビのトーン。
「1月だけでも、スターマー英、カーニー・カナダ両首相ら少なくとも5人の国家指導者が習近平・中国国家主席を訪問した。2月3日にはウルグアイのオルシ大統領が訪れる。1月初めの米軍によるマドゥロ・ベネズエラ大統領の拘束以来、南米指導者の訪中は初めて」
しかし、これら諸国の熱い対中視線の陰で銘記すべきなのは、習主席は彼らの訪問のほんの数日前、軍首脳らを大量に粛清しなければならない状況にあったことだ。中国国防省の1月24日の発表では、中央軍事委員会の筆頭副主席である張又侠氏(制服組トップ)と、連合参謀部の劉振立参謀長(中央軍事委員)が腐敗を理由に粛清された。張副主席は「習1強」の確立に貢献した実力者。
粛清の結果、2022年の発足時には6人いた今期中央軍事委の軍人メンバーはわずか1人になり、軍指導部は事実上の壊滅状態。
粛清の結果、2022年の発足時には6人いた今期中央軍事委の軍人メンバーはわずか1人になり、軍指導部は事実上の壊滅状態。
「ニューヨーク・タイムズ」は、粛清を習主席の夢である台湾侵攻の準備と見る。老いた将軍は仕事が遅く、政府の予算をむさぼり食う「大きなネズミ」で、習氏の侵攻プランを混乱させているので粛清されたという筋である。
突如、対中熱愛もそれほどいいアイデアでもなかったように見えてくるが、とにかく欧州各国は北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長の遠慮のないリアリティチェックを正面から受け止めるしかないだろう。ルッテ氏は1月26日、欧州議会で演説し、「ここに欧州連合(EU)または欧州全体が米国抜きで自分たちを防衛できると考えている人がいるなら、グッドラック。しかし、それは不可能だ。夢を見続けるのか」と警告。
同氏は、国防支出を倍増し、自前の戦力を何年もかけて増強しても、米国の支援がなければまだ目標に達しないと強調した。今の欧州には対独戦を戦ったチャーチルも、対ソ冷戦を戦ったサッチャーもいない。ただ、もう少し大人になれと言うよりない。
草野徹(外交評論家)







