時の焦点<海外> 中央アジア
- 1月21日
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カスピ海ルートと一帯一路
昨年12月18~20日、中央アジア5カ国の首脳が来日し、初の日・中央アジア首脳会議が開催された。輸送路整備、気候変動対策、人的交流促進を重点協力分野とする「東京宣言」が採択された。
サプライチェーン(供給網)の強靱化を目指し、中央アジアからロシアを経ずに欧州を結ぶ輸送路「カスピ海ルート」の整備で日本が支援することになった。
しかし、すでに先行し南米にまで「一帯一路」を拡大し、急成長している「中欧班列」との関係に触れておらず、国際物流の要である中欧班列との調整がなければ「カスピ海ルート」の整備実現は困難なのではないか。
「中欧班列(China Railway Express)」とは、アジアと欧州間の国際定期貨物列車のことだ。中国の巨大港湾から陸揚げされたコンテナが、毛細血管のように張り巡らされた中国の鉄道網で天山山脈の北と南の回廊ルートを経て、中央アジアからカスピ海、黒海を通る。そしてイスタンブール、ミラノ、マドリード、デュッセルドルフ、ハンブルクなど欧州主要都市を横断する鉄道「ユーラシア・ランドブリッジ」の巨大なサプライチェーンである。
ウクライナ戦争と共にシベリア鉄道経由の物流が激減し、一方でスエズ運河(地政学的)、パナマ運河(気候渇水)、コロナ禍(運賃暴騰)などの危機が中欧班列の物流を急拡大させる要因になったのである。
東京宣言で掲げた「カスピ海ルート」のグレードアップのためには、東アジアから欧州向けの陸路として中欧班列との接続のインフラ整備拡充は必要である。しかし、中欧班列を運行している中国との調整なしには「カスピ海ルート」は成り立たないことも事実だ。
中央アジアは、ユーラシアの中間に位置し、古来より東西の交通の要衝・南北の交通の要衝である。来日した5カ国は西トルキスタンのカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンである。これらの国々は、西はカスピ海、東は中国、北はロシア、南はイラン、アフガニスタンに囲まれたアジアの中心部に位置している。
歴史的にはシルクロードの交易都市として発展し、今日では天然ガスや重要鉱物資源に恵まれ近代都市として飛躍的な発展を遂げている。同時にこの地域は中国の東アジア・欧州の2大経済圏をつなぐ一帯一路構想の「シルクロード経済ベルト」の中核を成す中欧班列の核心地域だ。中央アジア5カ国が飛躍的な近代化を果たし、国際物流を支えてきたのが、まさに中欧班列の「西2通道」である。
特にカザフスタンが「カスピ海ルート」の整備を急ピッチで進めることはグローバルサプライチェーンの必然でもある。であればこそ純粋に経済問題として取り組むべき課題であり、政治に左右されてはならない。
岡野龍太郎(外交評論家)







