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朝雲寸言(2025年11月27日付)

  • 2025年11月27日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


今は昔、知らない土地を運転することは神経を使うことだった。車には必ず道路地図が積んであった。事前に路線図を見ながら目的地までの主要な交差点と顕著な建物を確認することが必要だった。


同乗者がいる場合、助手席に座る者には地図が読めることが求められた。だが車の進行方向に合わせて地図を回転させるような人が助手席に座ると道に迷うこともあった。


GPSという衛星測位システムが普及してから長距離ドライブは激変した。「カーナビ」と呼ばれる経路検索ソフトウエアによって今では車の中で道路マップを開くことはなくなった。GPSが軍事的目的で開発されたことを知る人は意外と少ない。カーナビは軍用技術が民生用に転用された典型的な一例である。


現在、世界規模で衛星測位システムを保有しているのは米国のGPS、ロシアのグロナス、EUのガリレオそして中国の北斗であり、インドと日本が地域的な衛星測位システムを運用している。


なぜ独自の衛星測位システムが必要なのか。全世界に展開する米軍のGPSが使えれば十分ではないか。中国の北斗を使えば十分ではないかなどのさまざまな意見がある。だが衛星測位システムが安全保障上のニーズから生まれたことを知るなら他国のシステムに全面的に依存することのリスクを考えざるを得ない。


そんなことを考えながら運転しているとナビが優しい声で車線変更を指示した。


(2025年11月27日付『朝雲』より)

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