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朝雲寸言(2025年11月20日付)

  • 2025年11月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


新宿中村屋が、国内初の本格的インドカレーを売り出したのは1927年のこと。骨付き鶏肉にスパイスをふんだんに使い、1人前80銭。町の洋食屋のカレーの8倍もしたが飛ぶように売れたという。


これにはインド独立運動の指導者ラス・ビハリ・ボースが関わっている。英国の植民地だったインドで活動していたが、官憲の弾圧を逃れて日本に亡命。中村屋の創業者夫妻にかくまわれ、その娘と結婚する。ボースの助言でメニューに入ったのが今に続く「純印度式カリー」だ。


腹心のA・M・ナイルらと共に、インド国民軍に武器を送るなどして祖国の独立運動を側面から支えた。後の首相・犬養毅やアジア主義者の頭山満らも熱心な支援者で、一緒に中村屋のカリーに舌鼓を打ったこともあっただろう。


ボースは47年のインド独立を見ずに病没する。一方、ナイルはその後も日印親善に尽くすかたわら、銀座にインド料理店「ナイルレストラン」を開く。タレントでもある二代目を経て、現在は孫の三代目が継ぐ。


こんな背景もあってインドには親日家が多い。外務省の調査では、日本を「信頼できる」と答えたインド人は96%と友好国の中でも群を抜く。


人口は世界一の14億人超。名目GDPも日本を抜き世界4位になろうという、グローバルサウスの雄でもある。8月に来日したモディ首相は「両国が協力すれば達成できないことはない」と語った。種をまいたのはボースやナイルたちである。


(2025年11月20日付『朝雲』より)

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