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朝雲寸言(2025年10月23日付)

2025年10月23日
読了時間: 2分

更新日:6月8日


被害妄想に取りつかれた米軍の司令官がソ連への水爆投下を命じる。全面戦争を恐れた大統領が中止命令を出すが、1機だけ連絡のつかない爆撃機が――。スタンリー・キューブリック監督の映画「博士の異常な愛情」(1964年)は、核抑止論の危うさを皮肉ったブラックコメディーの傑作とされる。


実際に「ニアミス」は何度もあった。79年、就寝中のブレジンスキー米大統領補佐官のもとに「ソ連の核ミサイル250発が米国に発射された」と報告が入る。第2報は2200発に増えた。カーター大統領に全面報復を進言しようとした時、3回目の電話が鳴った。「システムエラーでした」。


83年には、ソ連の防空司令部が米国から核ミサイル5発が発射されたことを探知。直ちにクレムリンに報告する規則だが、当直のペトロフ中佐は「先制攻撃ならもっと大規模なはずだ」と考え、見送った。後に誤作動と分かり、中佐は国連で表彰される。


米科学誌が発表した今年の終末時計は、人類滅亡の午前0時まで「残り89秒」に迫り、47年の発表開始以降で最短となった。同誌はウクライナでの戦争を挙げ、「軽率な判断や事故、誤算によって、いつ核戦争に発展してもおかしくない」と警告する。


針を戻すために唯一の戦争被爆国・日本に何ができるのか。昨年、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会は、世界に核戦争の悲惨な現実を伝えた。今度は政府が第一歩を踏み出す番である。


(2025年10月23日付『朝雲』より)

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