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朝雲寸言(2025年10月2日付)

  • 2025年10月2日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


終戦直後に首相を務めた幣原喜重郎は1910年代、ワシントンの日本大使館で日本人移民の排斥問題に取り組んだ。再三の抗議にもかかわらず米側の姿勢は変わらない。幣原は、尊敬する英国大使のジェームズ・ブライスに意見を求めた。


練達の外交官の助言はこうだった。米国は他国から批判されても変わらないが、過ちに気づけば自ら改めることは歴史が証明している。短気を起こさず、その時を待ちなさい(幣原『外交五十年』)。


トランプ関税にも当てはまる戒めだろう。一方的な高関税の押し付けは不当で、何より自由貿易体制を損なう。それでも彼(か)の国との関係を断てない以上、最善を尽くした上で米国の復元力に期待するほかはない。


4カ月半にわたる日米交渉は難航を極めた。米側の無礼な振る舞いに、石破首相が「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか!」と珍しく声を荒げる場面もあった。


合意内容は、自動車関税などを15%に引き下げる代わりに日本が約80兆円の対米投資をするというもの。「日本モデル」をEUや韓国も踏襲したことからも、よく健闘したといえるだろう。


さて、米国である。8月、連邦控訴裁判所が相互関税は違法とする判決を下した。米市民の6割が輸入関税に反対との世論調査の結果も出ている。さっそく変化の兆しかと思いたくなるが、ブライスはこうも言っている。「国家は永遠です。5年、10年でなく、もう少し長い目で国の前途を見つめなさい」。


(2025年10月2日付『朝雲』より)

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