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朝雲寸言(2025年8月14日付)

  • 2025年8月14日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


じりじりと真夏の太陽が照りつける午後、近くの公園で水遊びする子供たちの歓声を聞きながら流れる水の先にある小さな池にたどり着いた。


淀(よど)みが作る湿地に蓮(はす)の花が群生している。ここに来ると「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という一文を思い出す。泥の中から生まれながら真っすぐに伸びて白や桃色の花を咲かせる蓮の花は酷暑の中に散歩する際の一服の清涼剤である。


日本の8月は慰霊と鎮魂の月である。先の大戦の末期に米国は東京大空襲に引き続き日本の地方都市を標的とした大規模な戦略爆撃を行った。住宅地や商業地を破壊して国民の士気を喪失させる無差別の都市爆撃であった。


8月1日の夜、米軍は新潟県長岡市を取り囲むように2千発以上の大型焼夷(しょうい)弾を投下し、それを目印として後続の大編隊が4千発以上の集束焼夷弾(焼夷弾38発を内包)で爆撃した。長岡市街地の約8割が焼失、1480人余りの市民が死亡した。


長岡の夏といえば花火であろう。毎年花火大会の前日である8月1日の夜に長岡市は3発の尺玉を打ち上げる。白一色の3つの大輪は空襲で失った多くの市民への慰霊であり、戦後復興に尽力した先人への感謝である。


日本で一番暑く長いと言われた終戦の日から80年が過ぎようとしている。戦争の体験はいつしか記憶となりやがて記録となるのだろうか。今年の夏も暑い。水を飲み汗をぬぐいまた歩き始める。


(2025年8月14日付『朝雲』より)

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