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朝雲寸言(2025年8月7日付)

  • 2025年8月7日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


長野県御代田町(みよたまち)のケアマネジャー美斉津(みさいづ)康弘さん(52)の経歴は波乱に満ちている。福井市出身。ブルーインパルスに憧れて防衛大学校(39期)から航空自衛隊に進むが、視力検査でパイロット不適格に。


退職し、防大時代に打ち込んだアメリカンフットボールの実業団チームの門をたたく。ランニングバックとして活躍し、2003年にチームはリーグ優勝、自身も年間MVPに輝く。100メートルを10秒6で駆け抜けた「RB加畑」(加畑は旧姓)は、引退から20年経った今もファンの間で伝説的な存在だ。


華麗なキャリアの一方、元ヤングケアラーの顔をもつ。小学5年の時、母親が若年性認知症になった。鏡に向かって独り言をつぶやき、家事もしない。会社を営む父親は多忙で、自分が面倒を見ないと家族が壊れると思った。


学校から帰ると夕食のインスタントラーメンを作り、排せつの世話も。いら立って突き飛ばしたこともある。「誰にも相談できないのが一番つらかった」。


高校1年の夏、母は入院し、やっと解放された。すると今度は冷たく当たった罪悪感にさいなまれるようになる。30歳を過ぎてケアマネジャーになったのも、最初は罪滅ぼしのつもりだった。


5年前、テレビで多くの子供が昔の自分と同じ境遇にあることを知った。その支援を通じて気持ちが少しずつ変化していった。もし40年前の自分に会えたら、こう声をかけたい。「よく頑張ったね。君は一人じゃないんだよ」


(2025年8月7日付『朝雲』より)

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