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朝雲寸言(2025年7月17日付)

  • 2025年7月17日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


日本企業のたくましさ、したたかさを久しぶりに見た気がする。日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの完全子会社化である。民主、共和2人の大統領の反対を覆しての大逆転劇に、世界も目を見張ったことだろう。


勝因は不退転の決意と硬軟織り交ぜた巧みな交渉術にあった。バイデン氏の買収中止命令に一歩も引かず、逆に「不当な政治介入だ」と大統領を提訴した。


トランプ政権に代わるや、今度は「米国の製造業の復活につながる」とくすぐり、110億ドル(約1・6兆円)の巨額投資カードを切った。大詰めでの黄金株の提案は、支持者らに「米国支配」をアピールしたいトランプ氏への助け舟という見方もある。


日鉄は1901年設立の官営八幡製鉄所を源流に持つ。その20日後に鉄鋼王カーネギーらが立ち上げたのがUSスチールだ。共に国名を冠したライバル同士が手を組むのは、世界の粗鋼生産能力の半分を占める中国勢に対抗するためだ。


中国初の近代的製鉄所は40年前に新日鉄(日鉄の前身)などの全面支援で誕生し、山崎豊子さんの小説『大地の子』のモデルにもなった。それが今や、日米を脅かす存在になったのだから皮肉と言うほかはない。


120余年前、八幡高炉の火入れ式に臨んだ伊藤博文首相は「鉄は国家なり」と語ったという。ともすれば内向きになりがちなこの国の鉄鋼業である。狭い日本など飛び出して、世界の成長市場で大暴れしてほしい。


(2025年7月17日付『朝雲』より)

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