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朝雲寸言(2025年6月26日付)

  • 2025年6月26日
  • 読了時間: 2分

更新日:6月8日


新ローマ教皇の誕生で注目されたコンクラーベは、ラテン語で「鍵とともに」を意味する。始まりは13世紀。18人の枢機卿がイタリア派とフランス派に分かれて対立し、教皇不在が3年も続く異常事態に陥る。


業を煮やした市民らは枢機卿たちを宮殿に閉じ込めて鍵をかけ、パンと水以外の持ち込みを禁じて妥協を迫った。神秘のベールに包まれた儀式だが、こんな人間臭い由来を聞くと信者ならずとも親近感がわいてくる。


もっとも800年後の教皇選びも俗世と無縁ではないらしい。アルゼンチン出身のフランシスコ前教皇は欧州偏重のバチカン脱却を唱え、アジア・アフリカなどの新興国から多くの枢機卿を任命した。南米ペルーで地道な活動をしていたレオ14世が約8割もの圧倒的な支持を集めたのも、こうしたグローバルサウス票の後押しがあったからだろう。


片や、前教皇の側近で本命視されていたイタリアのパロリン枢機卿は、中国寄りの姿勢が敬遠されたと聞く。グローバルサウスの台頭といい、中国への警戒感といい、まさに国際政治の縮図である。


新教皇が手本とするレオ13世(在位1878~1903年)は、労働者の権利擁護に努めたことで知られる。研究者によると、その念頭には勢いを増す共産主義への対抗という極めて政治的な狙いがあったとか。


「苦しむ人々に寄り添う教会でありたい」と語るレオ14世は、迷える子羊たちをどこへ導くのだろう。


(2025年6月26日付『朝雲』より)

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