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朝雲寸言(2025年6月12日付)

2025年6月12日
読了時間: 2分

更新日:6月8日


1991年、米国ベトナム退役軍人財団とドイツのNGOの合意が端緒となり、対人地雷禁止国際キャンペーンが発足、以後世界的な運動となった。その結果97年、対人地雷禁止条約が起草され99年3月に40カ国が批准して成立した。


我が国の対応は素早かった。当時の外務大臣の発意を受けて97年に署名、翌年に衆議院で批准された。防衛庁・自衛隊には何の相談もなかった。


対人地雷は非人道的な兵器と言われる。探知・処理が困難なばかりでなく戦争が終わった後で多くの民間人が被害に遭遇することから国際問題となっていた。自衛隊が初めて参加したカンボジアの国連平和維持活動(PKO)で懸念されていたのもカンボジア全土に残る地雷の存在だった。


現在、対人地雷禁止条約は164カ国が加盟している。しかし米国・ロシア・中国をはじめ紛争や対立に直面する32カ国が未署名である。


その後、米国は国際世論に応える形で加盟時期を明言せず条約に加盟する方針を表明し、今後20年ほどで対人地雷を使えなくする方針だと発表した。しかしロシアのウクライナ侵攻を受けて米国はウクライナに対人地雷を供与した。バルト3国およびポーランド、フィンランドが相次いで条約からの脱退を宣言した。


対人地雷は禁止されるべきだと小欄も思う。しかし「あるべき論」だけでは問題は解決しない。現実を直視する冷徹で柔軟な視点が必要である。


(2025年6月12日付『朝雲』より)

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