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朝雲寸言(2025年5月29日付)

  • 2025年5月29日
  • 読了時間: 2分

更新日:2 時間前


国境は地図には書かれているものの実際の地面や水面に線が引かれているわけではない。陸地の国境は河川や山脈など地形区分によって比較的明瞭である。一方で現地を確認せず机上で定規で引いたような直線の国境もある。さらに何故そこに国境が引かれたのか理解に苦しむ国境もある。


世界地図を広げると国境が点線で描かれた地域がある。カシミール地方はチベットとカラコルム山脈に連なる山岳地域でインド、パキスタン、中国によって実効支配され国境は定まっていない。


領土を巡る争いは人類の歴史を通じて幾度となく繰り返されてきた。また領土を巡る争いは資源を獲得する争いでもある。フランスとドイツに隣接するアルザス・ロレーヌ地区は古くから良質の石炭と鉄鉱石を産出する地域だった。ウクライナ東部のドンバス地域も石炭などが産出されることで知られている。


領土にはその土地で日々暮らす人々の生活がある。国境は民族の歴史や文化・宗教を分断する境界でもあるのだ。近年国境の争いは海に及んでいる。水産資源だけでなく海底に潜む石油やレアメタルなどの鉱物資源に注目が集まっている。


ロシアの一方的な侵攻から既に3年余、ウクライナ戦争の停戦の動きは遅々として進まない。隣国との国境に壁を作り「24時間で戦争を終わらせる」と豪語して当選したどこかの大統領には世界の国境はどう見えているのだろうか。


(2025年5月29日付『朝雲』より)

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