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朝雲寸言(2025年1月23日付)

2025年1月23日
読了時間: 2分

更新日:6月8日


「自衛隊の方へ。掘りおこすとき左記に連絡ください。母がうずまっています」――。「阪神・淡路大震災」の災害派遣で陸自第3特科連隊が、がれきをかき分け遺体の捜索にあたる姿を伝える写真の一部に写っているメモ書きだ。


30年前の1995年1月17日に発生したこの大震災は最大震度7の揺れによって6434人の命と日常を奪った。当日の朝、テレビ・ニュースに流れた映像は衝撃だった。阪神高速道路は横倒しとなり、阪急伊丹駅は3階建ての駅舎が崩壊していた。にわかに現実とは思えない惨状だった。しかし、今になって、最も忘れられないのが、前述したメモ書きの写真なのである。


ひと組の親子に突然襲った悲劇は表象となり、誰にも起こり得ることを否応なく思い起こさせる。社会インフラの機能不全がもたらす弊害は「不便」に集約されるが、家族をはじめ、かけがえのない人を失った悲しみは究極の「不幸」だ。


この都市型の大災害は、地方自治体の自衛隊に対する災害派遣要請の遅れ、関係機関との情報交換の欠如など、さまざまな危機管理上の問題点をさらけ出した。結果として法改正や地方自治体と自衛隊の防災訓練の活性化につながり、東日本大震災や昨年の能登半島地震に生かされた。


しかし、ここで思う。災害を映し出す映像にガザやウクライナが重なることを。そして市民が被る悲劇は同じで、あらゆる惨状の下に無数の不幸があることを。


(2025年1月23日付『朝雲』より)

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