朝雲寸言(2025年5月22日付)
- 2025年5月22日
- 読了時間: 2分
更新日:6月8日

トランプ米大統領が称賛するマッキンリー大統領(在任1897~1901年)は、高率関税のほかフィリピンやハワイなどを併合したことでも知られる。その強引な手法は帝国主義そのものだった。
スペインの植民地だったフィリピンで独立運動が活発になったのは19世紀後半。激しい弾圧を受けるが、1898年の米西戦争で風向きが変わる。米国は独立軍の指導者アギナルドに独立を約束し、その協力を得て戦争に勝利。アギナルドは同年6月12日に独立を宣言し、初代大統領になる。これが同国の独立記念日になっている。
ところがマッキンリー政権は約束を反故(ほご)にし、スペインから2千万ドルでフィリピンを購入。これには米国内でも作家のマーク・トウェインや鉄鋼王カーネギーらから強い反対の声が上がった。
独立軍の反抗が始まるが、米軍による掃討は熾烈(しれつ)を極め、フィリピン側だけで4年間に20万人超の犠牲者が出たという。その後、大戦中の日本軍による占領を経て、1946年にようやく独立を果たす。
戦後、日米比3国は安全保障でも経済面でも良好な関係を培ってきたが、わずか数世代前には互いに憎悪の対象だったことを忘れてはなるまい。長年かけて築いた信頼関係も、崩れるのは一瞬である。
トランプ関税で世界が揺れる中、石破首相が先ごろフィリピンを訪れた。歴史好きの首相である。マルコス大統領と、アギナルドの無念でも語り合ったろうか。
(2025年5月22日付『朝雲』より)







