朝雲寸言(2025年4月10日付)
- 2025年4月10日
- 読了時間: 2分
更新日:6月8日

桜の開花と共に新年度がやってきた。多くの企業や組織が新入社員を迎える季節である。
自衛隊も新しい人材を迎えていることだろう。しかし自衛官採用の現状は厳しい。対象者である若者の絶対数が減っているからだ。少子化はその影響範囲の大きさから「静かなる有事」とも呼ばれている。
防衛省の公表資料によれば2023年度の自衛官の採用数は9959人、その達成率は過去最低の51パーセントだった。防衛力強化の方針を受けて計画数を増やしたものの実際の採用は前年より減少した。
自衛官採用の難しさは今に始まったことではない。しかし自衛官募集を自衛隊だけに任せ、国として特段の施策を行わなかったことが本問題をさらに深刻なものにしていると小欄は見る。
難しいが解決策はある。その一つは給料である。現在の新卒者の採用において自衛官の給与は民間企業に太刀打ちできない。給与面で民間企業をはるかに凌駕(りょうが)する処遇を与えることでようやく自衛官採用は厳しい就職戦線で戦えるのだと思う。
もちろん給与だけで自衛官の採用環境が全て解決されるとは思わない。多様な魅力化も必要だ。しかし然るべき処遇がなければ愛国心も使命感もないのである。
そんな憤りを抱えながら日課の散歩に出ると笑い声にあふれた下校途中の小学生たちとすれ違った。道を譲りながら見上げれば街路樹の桜は何も言わず静かに散り始めていた。
(2025年4月10日付『朝雲』より)








