朝雲寸言(2026年8月6日付)
8月5日
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ツキノワグマによる被害や目撃のニュースが絶えない。ヒグマならまだしも、ツキノワグマがこれほど怖いものだと痛感したことはない。
環境省のまとめ(2025年度)によると、クマ出没件数は全国で約5万件。記録が残る09年度以降、最多を記録した。前年度の約2.5倍という。人的被害は全国で216件発生、被害者数は238人(うち13人が死亡)といずれも過去最悪となった。東北各県に被害が集中。兵庫県神戸市での目撃情報も出てきた。いわゆるアーバンベアである。
スプレーや鈴などのクマ撃退ツールにも慣れ、効果が薄れてきている。個人での対策ではおぼつかない。あとは猟銃などによる駆除しかないのだろうが、これも人手不足という。
原因は気候変動などによるエサのドングリの凶作、クマの生息域の拡大、人への慣れ、残飯類の味への執着などと分析されている。もっと探ると、高齢化・過疎化によって人とクマの生活圏の緩衝地帯だった「里山」が荒廃したところに行きつくのだろう。
高度経済成長期にも、被害はあった。だが、現場は住宅・市街地域ではなく奥山だった。それでも新聞のコラムは問題を指摘した。
そこで思う。この50年間、我々は一体何をしてきたのか、と。里山の復興は一朝一夕にはいかない。高齢・過疎化で復興の体制づくりも難しいだろう。
今から50年後、どこかのコラムで今以上に深刻なクマ問題を嘆いていないことを祈るばかりだ。
(2026年8月6日付『朝雲』より)






