朝雲寸言(2025年3月27日付)
- 2025年3月27日
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更新日:6月8日

今は昔、半世紀近く前の話である。年度末になると自衛隊は節約モードに入る。年度の予算配分が限度枠に達するからだ。
「小隊長、今年の運搬費は終わりましたから下道(一般道路)を行ってください」。当時も今も大型トラックでの長距離機動は厳しいものだった。特に荷台に荷物と共に乗車する隊員は大変だった。できれば高速道路を使用したいのだが年度末になると訓練で高速道路を使うことはほとんどできなかった。
だから自分のポケットマネーで高速道路を利用したこともあった。予算の制約は訓練ばかりではない。燃料、車両や隊舎の整備、隊員の食事、生活全般にわたって年度末は厳しいやり繰りをしなければならなかった。
令和7年度の予算案が衆議院を通過し参議院で審議中である。防衛関連予算が原因で審議が中断することや予算案を通過させるために防衛費が取引材料になることもあった。これも今は昔。
令和7年度の防衛関係予算は8兆7005億円。隔世の感がある一方で、一般部隊が感じていた予算の制約はどれほど解消されたのかと思う。隊員の処遇はどれほど改善されたのかと思う。
予算の厳しかった昔、制約のある中でも部隊は創意工夫で訓練を継続した。空砲がなければ「バンバン」と叫びながら戦闘訓練を重ねた。その汗の向こうに家族や郷土や国家の平和と安全があると言い聞かせて。それもまた今は昔である。
(2025年3月27日付『朝雲』より)








