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時の焦点<海外> イランの攻撃

6月10日
読了時間: 3分

つじつまが合わない戦術


米・イランの和平交渉が膠着状態にある中、イランは各地で攻撃を激化させている。大きな見せ場を狙うかのようなイランと比べ、米国は成果を上げている観がある。


英ロイター通信は6月3日、カイロとワシントン発で、「米とイラン、新たな攻撃の応酬――交渉は行き詰まり」と簡潔に伝えた。


「米中央軍の発表によると、イラン軍は2日夜、クウェートに向け2発のミサイルを発射したが、目標に届かなかったか、もしくは空中で分解した。域内の別の標的への複数の弾道ミサイル攻撃も失敗した。バーレーンに発射された3発のミサイルは米軍とバーレーン軍に迎撃された。2月に米・イスラエルとイランの戦争が始まって以来、イランは米軍基地のあるバーレーンとクウェート内の標的を再三攻撃してきた」


「中央軍によると、米軍は域内海域で民間船舶を狙ったイランのドローンを撃墜した。また、ホルムズ海峡近くのケシム島にあるイラン軍地上管制基地も攻撃した」


「国営イラン通信(IRNA)が伝えたイスラム革命防衛隊(IRGC)の声明は、ケシム島に対する攻撃への報復として、IRGCはバーレーンにある米第5艦隊司令部、域内の空軍基地をミサイルとドローンで攻撃した」


トランプ米大統領はイランに対し、和平交渉の余地は残し、圧力を継続。ルビオ国務長官も議会への説明で、対イラン制裁の緩和には、核兵器開発を断念することが必須との態度を明確にした。


一方、イランはまるで高価な兵器を無駄に発射することこそ影響力の証明のような言動を続け、アラグチ外相は自国の要求を外交的言辞の衣で覆い隠すのに必死だ。


しかし、近隣湾岸諸国に狙いを定めたミサイルの存在は、周到に準備されたいかなる声明よりも真実を語っている。ミサイルを発射するために外交を停止する政権は、自国が何を最も信頼しているかを世界に公言しているようなものだ。


それより、自国経済の冷酷なリアリティーをどうする気なのだろう。イラン中央銀行(CBI)が6月1日に発表したところでは、インフレ率は年率で53.9%となった。一般の市民生活の日用品、日常必需品の価格は、1年前より113.8%アップした。


指導者層に常識を持つ者が多少いれば、「ミサイルを減らして、パンを増やそう」と考えるのかもしれないが、イランの政権には自分たちが国民に強いた痛みから学ぼうとする姿勢はない。


逆に、米政権の「抑制」は注目に値する。イランの直接的脅威に対し、ペルシャ湾を火の海にすることなく対応した。向かってくる脅威を破壊し、米部隊を保護し、パートナー国部隊を支援した。また、船舶を護衛し、イランの侵略に結び付く中心部に打撃を与えた。


直近のイランのミサイル発射が示したのは怒りであり、技能の優秀さではない。影響力を望んだが、湾岸諸国に対米関係緊密化の新たな理由を与えた。自らの力を証明したかったが、米国の防衛、同盟国との協調が依然、重きをなすことが証明された。


草野徹(外交評論家)


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