脳と体を整える 体内時計のトリセツ 遠藤求 著
8月13日
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更新日:8月17日
「人を遺すは上とする」とは、かつての名将・野村克也氏が好んだ言葉である。
誰もが抱く素朴な疑問を起点に、人間の体内時計の働きを丁寧に解説したのが本書である。著者は、脳を「指揮者」、体の各器官を「演奏者」と位置付け、両者の調和が保たれたときに心身が最良の状態となると説く。
この巧みな比喩によって、体内時計という抽象的な概念が一気に身近なものになる。睡眠リズムの乱れや生活習慣の偏りが、指揮者と演奏者の足並みをどう崩すのか。逆に、整った生活がどのように体のハーモニーを生むのか、丁寧に紹介している。
さらに本書は、光の浴び方や食事のタイミングといった日常の些細(ささい)な行動が変化することで、体内時計にどれほど影響するのかを具体的に示す。自分の体が刻む「時間」を理解することで、生活の質が静かに変わっていく過程が実感できる。
科学的知見を基盤としながらも、語り口は軽やかで読みやすい。不安をあおることなく、日常を少し整えるためのヒントが自然と心に入ってくる。
体内時計の「トリセツ」として、幅広い読者に薦めたい一冊だ。
(築地書館刊、1980円)













