防研セミナー 時代を読み解く シリーズ<49> 日本と同志国の防衛協力
- 1月29日
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更新日:5 日前
――増大する重要性と日本の役割

防衛研究所 政策研究部 防衛政策研究室 研究員
1997(平成9)年生まれ、新潟県出身。国際基督教大学教養学部卒業、オーストラリア国立大学大学院修士課程(国際関係学)修了。2021年防衛研究所入所。専門分野は日本の安全保障政策、インド太平洋地域の安全保障、政策決定過程論。主な業績として、「防衛戦略の変化と継続性 ―2022年「国家防衛戦略」と新時代の防衛力―」(『安全保障戦略研究』第5巻第2号、2025年)など。
日本は諸外国と防衛協力を行っているが、特に近年活発になっているのが米国以外の「同志国」と呼ばれる国々との連携である。2022年に策定された国家防衛戦略では、「同志国等との連携」は防衛目標を実現するためのアプローチの一つに位置付けられている。
2つに大別される同志国との連携
防衛省・自衛隊が実施する同志国との協力は、目的の観点から大きく2つに大別することができる。
1つは武力を交えた有事の抑止や対処能力向上、一方的な現状変更を試みる挑戦国の牽制といった効果を期待するものである。
その代表は豪州との協力である。22年の安全保障共同宣言では、安全保障上の緊急事態において「相互に協議し、対応措置を検討する」と明記されており、日本の国家防衛戦略にある通り「日米防衛協力に次ぐ」関係にまで発展している。「もがみ」型護衛艦の能力向上型が豪州の次期汎用フリゲートに選定されたことは記憶に新しいが、他にも米国を交えた防衛協議体「TDC」やハイエンドな共同演習などの取り組みが進められている。
他にも、日米韓、日米豪比といったミニラテラルの枠組みや、欧州との協力などが並行して進んでいる。
もう1つの形として、有事を直接的な念頭に置かない、よりソフトな協力も強化が図られている。すなわち信頼醸成や、自然災害などの比較的ローエンドな安全保障課題への対応にかかる協力である。
このタイプの代表例として、ASEANや太平洋島嶼国との防衛協力が挙げられる。これらの国々の国際環境認識は多様で、たとえば中国との距離感や軍事的な安全保障の優先順位はさまざまである。しかし、海洋安全保障の強化や、人道支援・災害救援(HA/DR)の需要は概して高い。日本はこれらの分野で、能力構築支援や政府安全保障能力強化支援(OSA)といった手段を活用した協力を積極的に行っている。
これら2つのタイプはあくまで便宜的に抽象化したものであり、実際の協力は必ずしも完全に切り分けられるものではない。重要なのは、同志国との防衛協力は画一的なものではなく、情勢と相手のニーズを踏まえた多様な連携が展開されていることである。
平素から連携し同志国で一体に
同志国と防衛協力を行う最大の意義は、幅広いパートナーとの連携を通じ、望ましい安全保障環境を創出していくことにある。軍事力の強化と海空域での活発な活動を続ける中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮など、インド太平洋地域には多くの懸案が存在し、同志国で一体となって向き合う必要がある。また、HA/DRのような紛争の抑止と一見関わりのない分野での協力も、大規模災害がもたらす不安定性の低減や相手国軍の運用能力向上、平素からの関係構築といった意義がある。
最近の米国の動向を踏まえても、同志国連携はいっそう重要性が高まっている。25年12月に発表されたトランプ政権の国家安全保障戦略は、米国の国益を厳格に絞り込むと共に、同盟国には自助努力を強く求めている。インド太平洋地域の重要性は依然として認識されているものの、米国の利益を守るという観点が際立ち、普遍的な公共財提供や国際秩序形成といった面は後景に退いている。
戦略文書通りの政策が展開されるとは限らないが、今後の米国による地域関与は、「米国第一」の枠組みを色濃く反映していく可能性が高いだろう。同時に、米国の同盟国に求められる役割は大きなものとなる。
日本は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持を重要な国益としてきた。そして、その実現に向けて日本が担うべき責任は従来以上に重みを増している。自国の防衛力と日米同盟の強化に加えて、これまで以上に日本が同志国間の連携を主導していくことが必要な時代を迎えているのである。
(2026年1月29日付「朝雲」)












