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生還特攻 4人はなぜ逃げなかったのか 戸津井康之 著

  • 5月27日
  • 読了時間: 1分

本書は死を覚悟して飛び立ったものの、結果的に「生きて帰ってきた」元特攻隊員たちに光を当てた。

出撃命令を受け、家族を残し、死地へと向かった若者たち。しかし、機体のエンジントラブルや悪天候などの不可抗力によって、基地への帰還を余儀なくされた者も少なくなかった。


本作が突きつけるのは、生還した彼らを待ち受けていた過酷な現実だ。「なぜ死んでこなかったのか」「卑怯(ひきょう)者」といった周囲の心ない視線や軍上層部の冷遇などが克明に描かれている。


本書の最大の読みどころは、戦後何十年も沈黙を守り続けてきた元隊員たちが、重い口を開いて語る「生き残った者の罪悪感」である。「戦友は先に死にゆくのに、自分だけが生き延びてしまった」という十字架を生涯背負った彼らにとって、戦後は決して平穏ではなかった。著者の地道で誠実な取材が、分厚い心の扉を開き、その奥底にあった真実の声をすくい上げている。


歴史の影に埋もれがちな「生者の苦悩」を通じて、「特攻隊」に新たな視点を与える作品である。


(光文社新書刊、1144円)


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