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儀仗隊の卵たち(1) “平時の国防”日本の顔として 唯一無二の部隊へ 新隊員を追う(2025年4月15日)
2025年10月21日更新

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特別儀仗隊に興味を持った新隊員が、302保警中の髙寺准尉(左から2人目)を質問攻めに(いずれも4月15日、横須賀市の武山駐屯地)

儀仗隊員の入隊から実務実施まで(陸自資料を元に作成)

特別儀仗隊員の選考基準と面接について

4月15日の時点で、まだ入隊したばかりの新隊員が真剣に自分の進路について考えていた

昨年、入隊した302保警中隊員が初めて特別儀仗デビューを果たした時の記念写真(12月4日、防衛省)=陸自警務隊本部提供
陸上自衛隊第302保安警務中隊(以下、302保警中)。国内唯一の「特別儀仗」の任務を受け持つことから「唯一無二」の部隊と言われている。防衛省の所在する市ヶ谷を拠点に、各国の国家元首や首相、軍高官などが公式訪日した際、最初に歓迎行事を執り行う「日本の顔」である。「平時における国防の最前線で戦う」彼ら特別儀仗隊員とはどのような人たちなのか。入隊から特別儀仗を担えるようになるまでの新隊員を追ってみた。(寉見陽平・櫻井穂乃香)
武山の地でみっちりと
4月15日、神奈川県横須賀市の陸上自衛隊武山駐屯地では、約3週間前に入隊した18~33歳までの隊員約800人に向けた「職種説明会」が行われていた。
彼らは「一般曹候補生」として、3月24日に入隊したばかりの第117教育大隊所属の新隊員だ。
これから約3カ月(4~6月)、武山の地で自衛官の基礎をみっちり学んだ後(前期新隊員教育)、陸自全16職種の中から自分の進路を決める。
その後はそれぞれの職種部隊に配属され、より専門的な後期新隊員教育(新隊員特技課程)を約3カ月受け(6~9月)、各部隊へと配置、晴れて2等陸士となる。
当日はその新隊員が6月から始まる後期教育に向け、自らの進路を決める大事な16の選択肢が提示された。
会場の体育館では陸自全16職種のほか、北方、西方の方面隊や空挺団、水機団、中即連、302保警中の専門部隊についても説明があり、それぞれのブースも設置された。
新隊員は説明を聞いた後、各自興味を持った職種などのブースで、担当者から詳しい説明を聞いたり、相談したりすることができる。
各科のリクルーターともいえる担当者の説明はおのずと熱が入る。
例えば、輸送科は朝霞、横浜など関東で勤務できるとか、自衛隊海上輸送群ができて艦艇に乗るチャンスもあるなど、各職種の説明者はさまざまな強みをアピールする。
そんな中、302中隊の職種「警務科」の説明は午前11時40分から約15分間、小平学校警務科部の最先任上級曹長・種市寿准尉が行い、警務科職種の魅力について紹介。
「自衛官一般の定年と異なり、警務科は60歳なので長く勤務できます」「全国、北から南まで・・・